――外面が垢抜けた結果、内面も変わったという実感はありますか?
岡本:内面はそこまで変わらなかったです。小中学校のとき浴びせられた言葉はいまだにフラッシュバックしますし、そのたびに自分がモデルをやっていることを忘れ、いじめられていたあの頃を思い出して「自分なんかダメだ」と思ったりするので。相変わらず、性格は暗いし根暗だしなよなよしてるんですけど(笑)。
でも、モデルのお仕事に行く度に思い出すんです。「あ、そうだ。自分はモデルなんだ。そんななよなよしてる場合じゃない」となり、そこで初めてスイッチが入ります。
――モデルって素敵なお仕事ですね。
岡本:そうですね。たとえば、ファッションショーだと本番直前まで僕はいじめられていた頃の自分のままです。でも、本番が始まって「じゃあ岡本さん、次行ってください」と言われた瞬間に「岡本舵楽」になるという感じです。
――モデルとして「綺麗だね」「可愛いね」と言われるようになり、小中学校時代の同級生にリベンジを果たしたような気持ちにはなりましたか?
岡本:以前は、自分のモデル活動はあの頃いじめていた人たちに対する復讐行為だと思っていました。「モデル活動がうまくいったら、あえて同窓会に参加してたくさんマウンティングしてやろう」とも考えていた。
今も、あのときの言葉や彼らの顔がたまにフラッシュバックするのは事実です。だけど、常に頭にあるわけではないんですね。モデル活動が充実すればするほど、自分の容姿が褒められれば褒められるほど、意識しないようになった。だから、もう忘れました(笑)。
――素晴らしいですね。それは、前に進んだということだと思います。
岡本:そうです、今はもう興味もなくなってしまって(笑)。しがらみから解かれたのかなと思います。
――現在、岡本さんは「ノンバイナリーモデル」という肩書で活動されていらっしゃいます。
岡本:今はもう性同一性障害と診断されていて、厳密に言えばトランスジェンダーなんです。だけど、僕はトランスジェンダーでも中性寄りなんですね。且つ、自分は完璧な女性になるということを諦めているので。
じゃあ、せっかくなら男に生まれたし……というのもあり、「男性的なモデルもやろう。でも、女性的なモデルのほうが得意分野だ」「両方できるし、自分のセクシャリティはトランスジェンダー寄りの中性……ノンバイナリーだから『ノンバイナリーモデル』じゃん」ということで、ノンバイナリーモデルと名乗っています。
――ご自身のセクシャリティにはいつから自覚的だったのでしょうか?
岡本:中学2年生からです。当時、塾に通っていたんですけど、僕がペンで数式を書いているとき、ペンを持つ右手の小指が立っていたんです。それを見た同級生から「お前、小指立ってるな。女なんじゃねえのか!?」と指摘されて。
――中学生っぽいイジりですね。
岡本:そうですね。まあ、男子だから「やめろよ。女じゃねえよ!」みたいなことを言ったほうがいいのかなと思いつつ、「女なんじゃないのか?」と言われたとき、なんかしっくり来て「確かに」みたいなリアクションをしたんですよね。
で、家に帰ってから「『女だろう』と言われ、自分は男なのになんで違和感がなかったんだろう?」と考えて出た結論が「自分って女性なんじゃない?」という。

「自分って女性なのでは?」と中学2年生で気づく
――今は、ノンバイナリーモデルとしてどんな活動を行っているのでしょうか?
岡本:全国を回っていろんなファッションショーやファッションイベントに出るのですが、特にユニセックスブランドのブランドモデルやアンバサダーを務めたりしています。ファッションショーでは中性的だったり女性的な服を着ながら、ときにはがっつりメイクしたり、またあるときはあまりメイクをしないみたいな感じです。
――まさに、ノンバイナリーですね。
岡本:そうなんです。だから、性別を取っ払った衣装を作るデザイナーさんたちによく起用していただいています。

ノンバイナリーモデルとしてユニセックスブランドのモデルに