その後、何とかガス人間を振り切り、大友は一安心して「俺は引退すっぞ、もう」と口にし、「俺よ、粉もん屋、やるからよ」「パンケーキの粉によ、ココナツ混ぜちゃうんだよ。そしたらハワイアンパンケーキになっちゃうから」とセカンドキャリアについて語りだす。
続けて、「シャブ入れちゃおうぜ」と“粉もん”を引っかけた反社ジョークを披露し、部下から「辞める気、ないじゃないですか」とツッコまれ、車内は笑顔に包まれた。
この一連の流れが、あまりにも死亡フラグすぎる。「ああ、1分以内にガス人間に殺されるんだろうな」という“確定演出”があるからこそ、このあまりに楽しげな空気感には、砂時計の砂が落ちきる寸前のような儚さを覚えた。
強面キャラで、作中では鬼畜なことも数多くしてきたであろう大友ではあるが、これだけ愛嬌を持たせられるのは、中野のベテランならではの技量だと思う。
岡本賢治(小栗)の上司で、裏社会とつながっている警察・吉田則夫(こばやし元樹・52)もインパクト抜群。5話で命のかかったボウリングをするシーンは本作のハイライトだろう。なぜかおもむろにワイシャツを脱ぎ、ランニングシャツ姿になる。
そして、ボールを丹念に磨き、見事にピンを倒す。すると目元が“キマッた”状態で、妖艶な腰使いのダンスを披露。この一連の流れには中毒性がありすぎるため、何回でも観返したくなる。
また、8話での阿部美智子(芋生悠)との戦闘シーンでは、体中に仕込んだ武器を次々と繰り出す戦い方もいい意味で“小物っぽい”。ボウリングのシーンで上半身を見せたが、決して筋肉質ではない。それでも、裏社会とのパイプ役として生き抜いてきたのは、この用意周到さ、姑息さ、躊躇なく引き金を引ける残忍さがあったからなのだろうと納得させられた。