
〈ヨーロッパは座る文化がない。というわけでホットカーペットも一般的ではないのです〉という環境で過ごしてきたマダムですが、日本の冬は寒く、築140年の古民家ならなおさらです。
マダムのためにホットカーペットを導入した召使い達。床に転がる、という未知で無防備な体験に加え、肌触りがよくて絶妙に暖かいホットカーペットを知ってしまったら……。優雅さを忘れ、ゆるゆるにとろけた姿になってしまうマダムなのでした。このあたり、猫の習性は万国共通なのだと微笑ましくなります。
さらに、日本の冬の風物詩とくればコタツ。密室好き、ぬくもり好きの猫にとっては冬の必須アイテムでもあります。さて、コタツとマダムの相性は如何に?
コタツに引きこもり、あとから入ろうとする召使い達の手足を引っ搔くではないですか。コタツがマダムの野生スイッチをオンにし、すっかりハンターモードに。暖かくて暗くて、狩りもできて最高、なマダムと、コタツに入ろうとするたびに緊張感が炸裂する召使い達。この対比のほっこし加減がたまりません。
ポーランドから日本へ。気候も建物の構造も、何もかもが異なる日常に突入しても、マダムの瞳は好奇心で満ちています。戸惑いがあっても、すべてを学びや遊びに変換してくつろぐ姿は、かんさびさんだけではなく、一読者としても元気をもらいます。
本書の後半には、猫を連れての移住計画や準備といった実用的な内容も。実際のマダムの写真も拝めるという、豪華な本書をぜひ手にしてくださいね。
<文/森美樹>
森美樹
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『
主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『
母親病』(新潮社)、『
神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。
X:@morimikixxx