
ラストでここまでの伏線が回収され、明かされる過去と現在との色分けの理由が胸に沁みる。手放すしかなかった想いのふいに訪れた答え合わせのチャンスは、万人に起こるものではないだろう。
それでも、得たものと失ったものを確かめながら、過去があるから今の自分がいるのだと、現在を力強く肯定するパワーのようなものを感じた。

恋愛映画というよりも、むしろ出会いと別れが繰り返される人生そのものを主題に置いているような本作。鑑賞後、自分の過去と重ね、思わず感傷的になってしまうのは私だけではないはずだ。
ただ、振り返るだけで心がほかほかと温まるような記憶があることの幸福を噛み締めた。その記憶たちをお守りのように抱きしめて、これからも生きていく。
『
サヨナラの引力』
配給/⽇活、KDDI TOHOシネマズ ⽇⽐⾕ほか全国公開中 ©2025 KC VENTURES CO., LTD AND K WAVE MEDIA LTD ALL RIGHTS RESERVED.
<文/宇垣美里>
宇垣美里
’91年、兵庫県生まれ。同志社大学を卒業後、’14年にTBSに入社しアナウンサーとして活躍。’19年3月に退社した後はオスカープロモーションに所属し、テレビやCM出演のほか、執筆業も行うなど幅広く活躍している。