宇垣美里「おかしいのは赤ちゃんなのか、母親なのか」北欧チャイルド・スリラー『ナイトボーン』に見た産後のリアル
元TBSアナウンサーの宇垣美里さん。大のアニメ好きで知られていますが、映画愛が深い一面も。

そんな宇垣さんが映画『ナイトボーン -夜哭-』についての思いを綴ります。
●作品あらすじ:理想の子育てを夢見てフィンランドの田舎町に移住してきた新婚夫婦、サーガとジョン。北欧神話の気配が息づく神秘的な森で結ばれた2人は待望の子どもを授かる。しかし、生まれた我が子に拭いきれない違和感を覚えるサーガ。不安は次第に恐怖へと姿を変え、やがて狂気へと暴走していく。
理想の家族の幸福の裏に潜む恐怖を描く北欧発チャイルド・スリラーを宇垣さんはどのように見たのでしょうか?(以下、宇垣美里さんの寄稿です)
私の友達の中で最も気合の入った女が「赤子が叫んだら一応叫び返すことにしている。世の中には自分よりアンコントロールな人間がいるってこと知っといてもらいたいからね。狂い負けするわけにはいかないのよ」と言っていた。
その時はさすがだなあ、とよく咀嚼もしないままにその謎の迫力に圧倒されていたが、今ならわかる。わかる気がする。私の友人は、こうならないために、真顔で叫び返していたのだと。

理想の子育てを夢見て、故郷のフィンランドの森深い田舎町に移り住んだ新婚夫婦のサーガとジョン。待望の子を授かり、子と共に我が家に帰ったものの、どうも様子がおかしい。母のサーガはこの子は本当に私の、人間の、子どもなのだろうかと疑問を抱くようになる。
出産に悪露(おろ)、戻らない体型、ぼろぼろの爪……産後の肉体の変化をリアルに追うと、ここまで身に迫るボディホラーになるだなんて。
青々と神秘的なフィンランドの森やかわいらしい装飾の子ども部屋の絵画のような背景の美しさとは裏腹に、子どもを産み育てることの理想と現実のギャップを生々しく描いている。

撮影/中村和孝
赤子が叫んだら一応叫び返すことにしている
子どもを産み育てることの理想と現実のギャップ

1
2












