「初心者向けのガイド付きツアーに参加しました。同じグループには中学1年生の女の子と父親の親子が。その子は部活をやっており、中体連をレギュラーで勝ち進んでいる最中だったそうです。
富士登山の繁忙期は山小屋やツアーの予約が5月くらいで埋まってしまいますから、その時点では予定が読めなかったのでしょう。元気な女の子でしたが、途中で体調不良に。ガイドは1人しかいなかったので、全員がたびたび足を止めることになりました。10歩進むたびに立ち止まり休むという進み具合。女性二人組はしびれを切らして、許可を取りつつ先に行ってしまいました。
ガイドはやんわりと撤退を促していましたが、本人や父親は行く気満々。結局、私たちもガイドなしで山小屋まで行くことに。最終的に親子は撤退したようです」(30代・男性)
子どもにとって大切な部活の大会を断念してまで参加したからには、親子ともども絶対に登頂したいという思いがあったのでしょうか。
また、初心者ツアーと謳っているなら安心というおごりもあったのかもしれません。登山ツアーでの参加は他の人との足並みを揃える大変さもあります。じっくり検討して判断したいものです。

富士宮口の5合目は標高2400m(筆者撮影)
筆者が小学生の時に実際に経験した忘れられない出来事もあります。数十年前のこと、父親と共に富士登山をしていた際、ひとりで登る小学校4年生くらいの女の子がいました。話しかけたところ、その女の子は山形から家族で富士登山をしにきていたと言います。
体調不良となり7合目で休んでいたところ、しびれを切らした家族が「登頂して戻ってくる」と山小屋休憩所に残して行ってしまったそう。
しばらく待っていたけど不安になって、ひとりで家族を追って登り始めたのだとか。同世代くらいの私がいるからと、父と私とで途中まで一緒に登りましたが、8合目で彼女は高山病で嘔吐。山小屋に託し、警察に連絡をしてもらうことにしました。
後日、父が女の子に渡していた名刺を頼りにお礼の手紙が届き、無事が確認されました。ですが振り返ると、富士山という危険な山に小さな子供をひとりで残したその子の親にゾッとします。山形からきたからには、どうしても登頂したいという気持ちはわかりますが……。