
次は丸顔寄りの私自身を例にしてみましょう。丸顔さんを補正するときの基本ルールは、面長補正とは真逆です。つまり、「縦を強調する」こと。横にボリュームを出すと、もともとの丸みがさらに強調されてしまいます。そこで前髪からサイドへつながるような縦方向のラインを作り、顔の横をスッキリと見せます。例えば、前髪を完全に下ろして額を覆うより、額を見せたほうが縦の長さを感じやすくなります。
さらにサイドの髪をふんわり横へ広げるのではなく、片側だけでも顔に沿わせるようにすると横幅も抑えられます。すると、顔自体の形はもちろん変わっていないのに、全体として少し縦長のシルエットに感じられるようになります。面長さんには「横」、丸顔さんには「縦」。このようにヘアスタイル選びは感覚ではなく、かなり論理的に考えることができるのです。
輪郭に左右差があるBさんの場合。顔はもともと完全な左右対称ではありませんし、年齢を重ねるにつれて筋肉の使い方や生活習慣などによって左右差が気になってくることもあります。「写真を撮ると片側だけ輪郭が違って見える」「片方の頬だけ張って見える」そんなお悩みもよく聞きます。この場合、私は左右を無理やり同じように見せようとはしません。気になる側だけを、髪でさりげなくカバーします。

実は人は、見えていない部分について、見えている情報から自然に補って認識する傾向があります。つまり、左右差が目立つ部分を少し髪で隠してしまえば、わざわざ輪郭そのものを変えようとしなくても、全体としてバランスが整っているように感じやすくなるのです。左右差を隠そうとして顔全体を髪で覆ってしまう必要はありません。ほんの少し毛束でカバーするだけでも見え方は変わります。コンプレックスは「全部隠す」のではなく、どこまで見せて、どこを見せないかを考えることも大切です。