「自分は映えていない」と思わなくていい。子どもたちへ伝えたいこと
――根底にあるのは、純粋な気持ちや愛なのかもしれませんね。
中西:そこまで大きくは言えないんですけどね(笑)。日々の中で感じるテーマみたいなことは、きっとみんな大なり小なり感じていることなのかなと思います。子どもたちにとっては、それがすごく大きなことなのかもしれない。だから、何かの杖になるようなものがあればいいなと思いながら、それを楽しく伝えられたらいいなと思って作っています。
――そして一方で、「おかあさんといっしょ」の曲は、親御さんにとっても大きな存在ですよね。
中西:そうですよね。「ぼよよん行進曲」は2006年からですから、もう20年になるわけです。その間には震災もありましたし、大変なことが山のように起こった。その都度、お兄さんやお姉さんが歌ってくれて、それが励まし続けてくれたことが今につながっているんだと思います。
そのとき、そのときの自分の生活みたいなものを、その曲に乗せて聴いてくれている。「聴いていたら泣けてきちゃう」というようなことを言ってくださる方もいると思います。
――そんな35年間を経て、今新曲「情熱の記憶」で、改めてご自身も情熱を取り戻そうとされているなか、60代に入り、好奇心や情熱は変わりましたか?
中西:変わっていると思います。経験や自分の置かれている立場によって、「何のために?」ということは変化しています。ただ、若い頃のような爆発とは違った、何か別の燃え方というか、そういうものがあるような気がします。
そして、いろいろなことにワクワクしながら、その先に進んでいきたいという気持ちは変わらずに持っています。そういう期待のようなものには応えていきたい。そして、関わってくれる人たちが喜べる状況を生み出せたらいいなと思っています。
――これからの60代、どのように過ごしたいですか?
中西:自分の役割みたいなことを、すごく考えるようになりました。「自分にしかできないことって、どんなことなんだろう」とよく考えます。世の中にはたくさん音楽があふれている。その中で、自分が人を喜ばせることができるのは、どんなことなんだろうと。子どもたちに何かを伝えることができて、それを受け取っていただけることは、すごくありがたいですし、自分もそこで役割を果たしているという喜びがあります。
「役に立っている」という喜びが、自分のほうに返ってくることがたくさんあるんです。世の中の役に立つことというのは、地域貢献だったり、いろんな人たちが頑張っていることに加勢して、自分もその中で役割を果たしていくことだったりしますよね。
でも、ビジネスライクなことでなくても、音や言葉を伝えることで何か貢献できることがあるなら、それをやっていきたい。そこは、自分の純粋さを守れるところでもあるのかなと思っています。それが一番、自分にとって役に立つことなのかなと思っています。
――最後に今回のコンサート、楽しみに待っているみなさんへ一言お願いいたします。
中西:みなさんどんな気持ちで集まればいいんだ、という感じかもしれませんが、こんな僕なんですけれど、30何年やってきたなかで、自分なりに残せた爪痕を感じながら、この先も変わらずにやっていくと思います。そんな人を見に来てほしいな、と思います(笑)。
<取材・文/トキタタカシ 撮影/塚本桃>
トキタタカシ
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、
インスタグラムにて写真レポートを行うことも。