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水卜麻美アナ体型の女子が「デカいケツ好きでしょ?」と歌って全米No.1ヒット!

 いまや人気ナンバー1女子アナの呼び声高い日テレの水卜麻美アナウンサーを筆頭に、ここ最近はちょっとした“ぽっちゃり女子”ブーム。おだやかなサイズのゆるカワファッションも盛り上がりを見せる中、そんな流れを強力にプッシュする曲がいま全米で大ヒットしています。  メーガン・トレイナーのデビューシングル「All about that bass」。9月20日付のビルボードチャートで1位を獲得して以来、長くその位置をキープし続けています。 メーガン・トレイナーのデビューシングル「All about that bass」 PV

「バービー人形みたいな女のどこがいいの?」

 タイトルにある「bass」とは、低い音のこと。つまりぽっちゃりの自分を低音の太い音に見立てつつ、bassとass(お尻)をかけているのですね。「フォトショで修正したバービー人形みたいな女のどこがいいの? 男はこのでっかいケツが好きなんでしょ」という、なんとも胸のすくような痛快な曲なのです。 (※このPV、最高だからぜひ見てね!ダイエットがアホくさくなりますよ by編集部) ⇒【YouTube】Meghan Trainor‐All About That Bass http://youtu.be/7PCkvCPvDXk  しかし「All about that bass」の魅力はその歌詞だけではありません。1950年代のリズム&ブルースやドゥーワップが極めて自然に現代にフィットする形で蘇っている。音の数が少なく、サウンドの隙間がタイトに引き締まっている。そんなところにも決して油断をしない制作陣の技が光っているように思います。  そして“bass”こそが魅力という詞の内容に応えるように、曲をリードするのはベースライン。オールディーズやロックンロールでおなじみのクリシェを堂々とループさせるのも清々しい。作り手はもちろん、これを楽しんで全米1位にまでしてしまう聴き手にもおおらかな余裕がうかがえます。  ところでこの「All about that bass」に非常によく似た曲が7年前にあったことを覚えているでしょうか。それがショーン・キングストンの「Beautiful girls」。曲だけでなく歌い手の体形もそっくりです。 ⇒【YouTube】Sean Kingston‐Beautiful Girls http://youtu.be/MrTz5xjmso4  しかしこちらのオールディーズへのオマージュはもっとあっけらかんとしています。誰もが知っているベン・E・キングの「Stand by me」を丸々引用しているだけでなく、ビデオではモノクロ映像で弦楽器やティンパニの演奏シーンを挿入することでこのスタンダードナンバーの背景をきちんと啓蒙することも怠っていません。余談ですがギャレス・マローン先生の合唱ドキュメンタリー番組でも男子高校生が「Beautiful girls」と「Stand by me」をシンクロさせて歌っていましたね。

リズム&ブルースやドゥーワップとぽっちゃりは相性がいい

 それにしてもリズム&ブルースやドゥーワップとぽっちゃり体型は本当に相性がよいようです。曲の人懐っこさが、丸みを帯びているように感じられるからでしょうか。そんな仮説をさらに確かなものにしてくれそうなのが、シーロー・グリーン。ユニットメンバーとして参加したナールズ・バークレーの「Crazy」の大ヒットでもよく知られています。  そんな彼の代表曲といえば、もちろん「Fuck you」。2010年を代表する一曲です。 ⇒【YouTube】CeeLo Green‐FUCK YOU(Official Video) http://youtu.be/pc0mxOXbWIU  シーロー本人にはぽっちゃりを超えた貫禄がありますが、この曲も実に親しみやすい。聴く人によっては、あまりにも実験性がないことにいらだってしまうかもしれません。それでもこれが見事なポップソングであるという事実は揺らがない。その秘密は作曲のクレジットに名を連ねるブルーノ・マーズの存在でしょうか。グッドメロディが心地よいリズムで展開されている。そこに意識が集中していることの重みを感じさせる一曲です。  最後にリズム&ブルースとぽっちゃりがベストコンビであることを確信させてくれる、いわば保証人のような存在をご紹介しましょう。「Fuck you」が大ヒットした年に亡くなったソロモン・バーク。こちらもベン・E・キングとともにアトランティックレーベルを支えた貢献者の一人です。  彼の代表曲の一つである「Cry to me」も、冒頭のベースラインでツカミは完璧。まさしく“All about that bass”。改めてメーガン・トレイナーの曲が巧妙に、そして敬意をもって作られていることがよく分かります。 ⇒【YouTube】Solomon Burke – Cry To Me(Live at Montreux 2006)http://youtu.be/Vr5H5vjMKwA <TEXT/音楽批評・石黒隆之>
石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4
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