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内見した部屋には、小バエの大群とオタク青年が!【シングルマザー、家を買う/7章】

<シングルマザー、家を買う/第7章>

バツイチ、2人の子持ち、仕事はフリーランス……。そんな崖っぷちのシングルマザーが、すべてのシングルマザー&予備軍の役に立つ話や、役に立たない話を綴ります。

前号までのお話)いよいよ家探しがスタート。だが予算内で買えるのは、オンボロの団地だった。内見1軒目は、妻に逃げられたおじいちゃんが住み、壁には息子がバットで開けた穴が……。ヘコむ心を奮い立たせて、2軒目を内見しにいった。

もはや団地が神々しく見えてきた



 内見、2軒目。

 築35年、80平米の3LDK。前回の100平米には負けるが、母子家庭には十分すぎる大きさだ。もう憧れのメゾネットやマンション、一軒家などの夢は完全に投げ捨て、もはや団地しか目に入らない私の目は、均等に並ぶコンクリートの塊である団地が神々しく見えてくる。そうだ、私を育ててくれた団地が私を見捨てるわけがない。

 むしろ、団地が私を手放すわけがない!

 次はどんな団地と出会えるのだろうか!

 そんなワクワクを押さえきれない私の心境を知ってか知らずか、相変わらず立派な筋肉がYシャツのなかからすごい主張をしてくる元ラガーマン(かどうかは確認していない)の不動産屋が連れてきてくれたのは……。

 あれ? 見覚えのある建物。目の前には見たことのある洗濯物が……。おや、あのベランダから顔を出しているのは、太りすぎてアメショの柄がのびきっている猫……プー太郎! そう、実家の目の前の棟だったのだ。スープの冷めない距離とはよく言うが、この距離だとスープが沸騰したまま実家まで歩いていける。

シングルマザー、家を買う/7章(1) このとき、長女はまだ4才。長男にいたっては赤ちゃんまるだしの2歳。

 なるほど、これはとても都合がいい。一応、実家からは自立という名目で引っ越すのだが、結局は両親に育児を手伝ってもらわなくては、仕事するのは難しい状況だ。となると、窓と窓で会話が出来るほどのこの距離であれば、どんなときも駆けつけられる。

 さらに、夜に取材が入ったときなどのお迎えはもちろん、ライブレポートなど、どうしても遅くなる仕事のときに、先に子どもを預けて寝かしつけてもらうこともできる。条件としては最高だ。

またもや個性的な先住民が……



 内見しようとしてとしているのはエレベーターのない4階の一部屋。ついにその家に入ろうとすると、ドアの前にはなんと小バエの大群が……。

「え!? まだ人住んでいますよね?」

 ラガーマンは、そのありえない状況に尻込みする私を見て見ないふりをし、強めにインターホンを押した。

「ピンポーン」

 数秒たち、そこから出てきたのは、なんとも人畜無害な、どちらかといえばオタク、いや、いまあなたが想像した3倍ほどのオタク青年……。しかも、大事な内見の日に片手にはゲーム機が……。おやおや。またもや個性的な先住民で……。しかし、実の弟がかなりのオタクというスペックを持つ私は、彼にひるむことなく、「拝見させていただきます」と神妙な面持ちで家に上がり、まずは一歩、足を踏み出してみた。

シングルマザー、家を買う/7章(2)⇒【後編】「部屋に入ると、見たこともない光景が…」に続く
http://joshi-spa.jp/191083


<TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ>

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【吉田可奈 プロフィール】
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、音楽ライターを目指し出版社に入社。その後独立しフリーライターへ。現在は西野カナなどのオフィシャルライターを務め、音楽雑誌やファッション雑誌、育児雑誌や健康雑誌などの執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘はネットで見かけた名言“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky

シングルマザー、家を買う

年収200万円、バツイチ、子供に発達障がい……でも、マイホームは買える!

シングルマザーが「かわいそう」って、誰が決めた? 逆境にいるすべての人に読んでもらいたい、笑って泣けて、元気になる自伝的エッセイ。

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