塩麹、塩レモン、塩キャラメル……「塩」と名がついてブームになった食は数知れず。 　そんな中、1日5000個以上が売れるという愛媛県の「パン・メゾン」からブームに火がついたという「塩パン」も、TVなどのメディアに紹介されたり、文字通り「飛ぶように」売れる様子がyoutubeでも見られたりと、ネットでも話題にのぼっています。 ⇒【写真】はコチラ http://joshi-spa.jp/?attachment_id=286634 　今では全国のパン屋で見かけるようになった塩パンですが、基本はバターロールを細長くのばしたような形で、中にバターを包んで、上に塩をふったシンプルなロールパン。 　焼きあげる際にバターが溶けてパンの表面をカリッとさせ中は空洞になって食感が軽くなり、じわっとしみたバターの香りと香ばしい歯ごたえに加え塩の粒が直接舌の上で溶けるのでうまみを感じやすく、後をひく味わいが特徴です。 　塩をまぶすフォカッチャや塩とバターをたっぷり使用したパンは以前からありますが、「塩パン」というシンプルでわかりやすいネーミングと、1個73円（税込・パン・メゾン）という価格も人気が出た秘密なのかもしれません。 　東京でも、いろんなパン屋さんで塩パンを見かけるようになりました。 「ポンパドウル」の「塩パンロール」は北海道のバターにフランス・ゲランド産の塩を使用して1個129円（税込）。 　東京都港区にある「モンタボー」では、その食感から「サフジュ（サクッ　フワッ　ジュワ）」という名前で販売。1個151円（税込）、累計販売数が200万個を超えた人気商品。 「Pasco」でも国産小麦を使用した「ゆめちから入り塩バターパン」（6個入173円・税込）が2月に発売され、月間で1.4億円という予想以上の売上だそう。 　セブン-イレブンでも今年の1月から販売されていると聞いたのですが、都内で5軒ほど探してみたものの見つからず……。「お客様相談窓口」に問い合わせてみたところ、 「『塩パン』は関西エリアのみの販売で、当該地域では93%の店舗で取り扱われています。関東エリアでは『マーガリンがしみこんだ塩パン』が4月より販売され、当該地域の取り扱い店舗は40%ほど」とのこと。 　発酵バターを使用した関西の塩パンとは別の商品として関東で販売されていて、取り扱いも半分以下ということです（その後都内でも見つけることができました）。 　たしかにパン好きの友人達に聞いても塩パンを知らないと言われることも多く、やはり愛媛県発祥というだけあって関西圏で起こっているブームなのでしょうか。気になって関西在住のフードライターに聞いてみたところ「評価は分かれるけれどメディアで言われているほど流行っている感覚はない」とバッサリ。 　まだまだこれから人気上昇するのか、シンプルな味だけにブームもしっとり静かに終わるのか、「塩パン」の勢いの行方は気になるところです。 　ただ、どこの塩パンもバターや塩の産地にこだわったり、食感や香りに工夫があったりと個性が出ていて、シンプルゆえにパン生地本来の味もしっかり楽しめるという魅力があり、色々な塩パンを食べ比べてみるのも面白いのではないでしょうか。 　これからの暑くなって汗をかく季節は、塩分補給のためにもカラダが塩気を求めます。さて、塩パンの本格的なブームが来ますかどうか……。 ＜TEXT／松嶋ゆうこ＞ 【松嶋ゆうこ】 青山学院大学を卒業後、ITベンチャーを経て飲食店の立上げを経験し、パリ「エスコフィエ」でフランス料理を学ぶ。栄養士、食育インストラクター、ソムリエやフードアナリスト1級等の資格を持ち「食を通じて健康に美しく」を目指し、TVなどメディアで料理研究家・コメンテーターとしても活動中。（ブログhttp://ameblo.jp/dietreport/）