略奪婚の末に。不倫妻が見破った、たったひとつの浮気サイン
浮気は男の甲斐性なんていうけれど、されるほうはたまったもんじゃありません。幸か不幸か女の勘は鋭くて、夫がどんなにひた隠しにしようともかぎつけてしまうもの。確固たる証拠をつかんだとき、妻がとるべき行動は許すか許さぬか……だけではないようです。
結婚4年目を迎えるハツエさん(仮名・39歳)が夫の浮気に気づいたのは、日常の些細な変化だったといいます。
「いつもと何も変わらない毎日だったのですが、決まったネクタイを締めていく日が増えたんです。そのネクタイは誕生日に部署の人たちから戴いたと言っていたのですが、それにしては着用する頻度が高くて、怪しいなって気づきました」
まさかそんなことで? と驚くようなきっかけですが、それには理由がありました。
実はハツエさん自身が、不倫の末に妻の座を手に入れた立場だったから。
「私が彼と不倫関係にあったとき、会う日は必ずプレゼントした物を身につけてきてくれていました。そのときはその気遣いがとてもうれしく感じていたのですが、まさか浮気に気づくサインになるなんて……。皮肉なものですね」
過去に自分がしてきたことへの報いなのか。そんな思いを抱きながらも、夫の浮気をどうしても許せなかったといいます。なぜなら、社内不倫だったことで逃げるように会社を辞め、親や親族からも勘当され、何もかもを失って手に入れた結婚だったから。
「もう、私には彼しかいないんです。浮気相手に乗り換えられて捨てられたら、私はひとりになってしまいます。だから、どんな手を使ってでも夫と浮気相手の関係を断ち切りたかったんです」
彼を取り戻したい一心のハツエさん。携帯やパソコンはもちろん、行動、ネクタイを締めて出社した日の帰宅時間や残り香などすべてをチェックし、浮気相手が夫と同じ部署にいる20代の部下であることを突き止めました。
夫の浮気に気づいてからも、表情ひとつ変えずに夫婦生活を送っていたハツエさん。しかしその裏で、浮気相手の女性へ接触を試みていました。
「彼の隠しフォルダにあった写真で顔は分かっていたので、退社時間に待ち伏せて声をかけました。彼の妻であることを伝えたら、すんなりついてきましたよ」
近くのカフェに入ったふたり。別れるように説得するのかと思いきや、ハツエさんは相手の女性をホメたんだそう。
「かわいいわね、主人がホレるのも分かるわって、とにかく相手をホメました。そのうえで、私も同じ立場だったこと、結婚と引き換えにすべてを失ったことを話しました。『あなたはそんなにかわいいんだから、みんなから祝福される結婚をしてちょうだい』って涙を浮かべながら話すころには、彼女の目にも涙が浮かんでいましたよ」
“別れてほしい”とは一言も発さず、不倫という立場がどれだけつらく大変なものかを経験談から訴えたというハツエさん。しばらくして、浮気相手の女性から「別れることにします」と連絡がきたそう。
「彼女がその気になっても、夫の気持ちが変わらなければよりを戻すこともありえますよね。だから、夫にもしっかりとお灸をすえましたよ」と、ハツエさんは笑顔で語ります。
「まず、彼の下着をすべてピンクやハートのかわいらしいものに変えました。あとは一緒にお風呂に入ったとき『私にはアナタしかいないのよ』っていいながら、アンダーヘアをすべて剃ってやったんです。浮気がバレていることは彼女から聞いていたようなので、抵抗の余地なし。
『もし浮気したら、そのときは一緒に死んでもらうからね』ってカミソリをみせながら笑顔でいったら、夫の顔はひきつっていましたけどね(笑)」
気づいていることを暗に示しながらも、決して夫を責めなかったハツエさん。夫と浮気相手、両方にアプローチをかけて精神的に訴えかける手口はプロも顔負けの別れさせかたにも思えます。
<TEXT/千葉こころ PHOTO/Iliuha007>
経験と女の勘が暴いた不倫
プロも顔負けの別れさせ術
千葉こころ
ビールと映画とMr.Childrenをこよなく愛し、何事も楽しむことをモットーに徒然滑走中。恋愛や不倫に関する取材ではいつしか真剣相談になっていることも多い、人生経験だけは豊富なアラフォーフリーライター。