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TOKIOの新曲「東京ドライブ」はロックとして成功しているか?

 一般には、ワザの引き出しが増えると、表現の幅も広がると思われがちですが、果たして本当にそうなのでしょうか。  かつてナンシー関が指摘したように、細川たかしのモノマネを極めていた人が、レパートリーを増やしたため、十八番の質が下がってしまった。器用になることは、そうした危険もはらんでいるのですね。

バンドはうまくなったけれども……

 TOKIOの新曲「東京ドライブ」(10月28日発売)は、そんな問いを投げかける一曲でした。作詞、作曲、編曲を長瀬智也が手掛けた、TOKIO通算50枚目のシングルは、なんとファンキーなハードロック。粘っこいリードギターに続いて、「Eat The Rich」(エアロスミス)のようなリフとホーンセクションが絡み合うアレンジに、バンドの熟達がうかがえます。
トレンチコート

ジャケット写真やPVはトレンチコート姿…というだけで別に関係ないイラスト

 しかし、この流れのまま始まるAメロが、どうにも収まりが悪いのですね。「Higher Ground」(スティービー・ワンダー)を思わせるメロディが、イントロのムードを引き継いでいることは理解できる。にもかかわらず、そうした曲調に不可欠なリズムのアタックが、「東京ドライブ」からは感じられないのです。  シンコペーションを含んだ細かな符割にハマらない間延びした歌詞。さらに、歯切れよりも艶が勝ってしまう長瀬のボーカルが、ビートのしたたかさを奪ってしまう。演奏は堂に入っていても、それと表現したいことが噛み合っていないように感じるのです。 ※直接TOKIOの新曲「東京ドライブ」を聴けるところがないのですが、一応貼っておきます http://www.johnnys-net.jp/page?id=spotCmMovie#209

TOKIOの強み“華々しいダサさ”がサビで現れる

 皮肉にも、この違和感を逆説的に解消してくれるのが、「スズキ ソリオ バンディット」のCMでもおなじみのサビのフレーズ。 <君を迎えにいくよ ドライブはどうだい?>。  ここで曲調は、明るく解放感に満ちたパワーポップへと一変します。  前後にスペースを保った歌を伸びやかに聴かせる長瀬を、堅実に支えるバンド。そこに、目に見える形のワザはないかもしれません。ですが、このあっけらかんとした王道こそ、TOKIOの真骨頂なのではないでしょうか。易しいことを、そのままにやってみせることが、実は一番難しいのだと思います。  もっとも、TOKIOはまだまだ発展途上のバンドです。これからも色々と新機軸を打ち出すことでしょう。  それでも彼らのアドバンテージは、華々しいダサさにある。それはいくら練習しても、勉強しても得られない財産なのではないでしょうか。  取ってつけたような「東京ドライブ」のサビですが、その説得力は失われていないと思わせる瞬間でした。 ※文中で触れた2曲。リズムとかビートってこういうこと。 ⇒【YouTube】Aerosmith – Eat The Rich http://youtube.be/o-0lAhnoDlU Higher Ground – Stevie Wonder (1973) ⇒【YouTube】Higher Ground – Stevie Wonder (1973) http://youtube.be/X00XdLhFLSg http://youtu.be/X00XdLhFLSg <TEXT/音楽批評・石黒隆之>
石黒隆之
音楽批評。ipodに入ってる曲は長調ばかりの偏食家
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東京ドライブ(通常盤)

約1年半ぶり、50枚目のシングルとなる「東京ドライブ」は、「スズキ ソリオ バンディット TVCM タイアップソング」として大好評オンエア中の楽曲。 長瀬智也が作詞・作曲・編曲を手掛けており、爽やかな中にも土臭さを感じる、TOKIOらしい現代版サザン・ロックでドライブにも最高の1曲。




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