Love

偶然か、運命か。妻が夫を裏切って昔の恋に燃え上がるとき

 誰しもひとつは忘れられない恋の思い出があるはず。いつまでも色あせることなく記憶に残っている光景が、もし目の前で繰り返されたら……。それは運命? それとも、偶然?

不倫の恋を忘れるために

 結婚4年目を迎えるイオリさん(仮名・32歳)は、今のご主人と結婚するまでの2年間、妻子ある男性と人知れぬ恋をしていたそうです。 不倫「彼は仕事の取引先の人だったのですが、互いに一目ぼれのような感じでした。奥さんがいることを知っても気持ちが揺らぐことはなく、二番目でもいいから彼のそばにいたい。その一心でした」  彼にとっても初めての不倫。何度も別れ話が出たそうですが、結局離れることはできなかったといいます。 「別れ話をするたびに、ふたりで泣いていました。お互いこんなに好きなのに、一緒にいることができないなんてって。しばらく連絡を絶ったりもしたのですが、結局仕事で顔を合わせてしまえば気持ちに嘘はつけないですよね。よりを戻す、その繰り返しでした」  このままではいけない……。そう考えたイオリさんは何度目かの別れ話の後、彼のために仕事を辞めました。これでもう顔を合わせることはない。新しい職場で、今度こそ堂々とつきあえる相手をみつけよう。気持ち新たに就職した先で、今のご主人と出会います。 「まだそのときは付き合っていなかったのですが、あきらかなモーションは掛けられていたので私の気持ちひとつといった感じでしたね。もちろん不倫をしていた彼のことを忘れられずにいたので気づかぬふりをしていましたが、主人の優しさは憔悴しきった私の心に沁み込んできました」  元カレを忘れて付き合おう……。そんな思いが芽生えはじめたとき、想いを断ち切るために“元カレとの思い出の地巡り”を思いついたとのこと。ところが、その行動が思いもよらない展開を招くことになってしまったのです。

思いがけないプロポーズに揺れる女心

 はじめてデートした場所やいつも待ち合わせに使っていたカフェなど、不倫相手だった彼との思い出がたくさん詰まった地を訪れたイオリさん。ふと、「いつか一緒に行こうね」と約束していたお店を思い出します。 「彼とは行けずじまいだったのですが、近かったこともあって寄ってみることにしました」  なんどもふたりの話題に上がっていたお店。実際に訪れてみると、楽しそうに話す元カレの顔が浮かんだりもしたそうです。 「一緒に来たかったなって思いながら店内を見ていたら……。いたんです、彼が」  思いもよらない形で再会を果たしたふたり。言わずもがな関係はもどり、再び道ならぬ恋がはじまりました。ところがそれからしばらくして、現在のご主人から正式に交際を申し込まれたとのこと。 「適当な言い訳で彼を傷つけたくはなかったので、すべてを正直に話しました。不倫をしている女だと知れば、あきらめやすいかと思って」  ところが、ご主人から帰ってきた言葉は「結婚しよう」だったそう。正直に話したことがかえって好感度を上げたようで、「ありのままの私を受け入れて、絶対に幸せにするって、一生かけて彼を忘れさせるって言われたんです」  悩みに悩んだ末、不倫相手の彼に別れを告げて“妻”となる道を選びました。

運命を感じさせる出来事

 それからは穏やかな幸せに包まれた結婚生活を送っていたイオリさんでしたが、ある日、友人との待ち合わせに向かう途中に元カレと再会したあのお店の前を通ります。 「本当に何気なく、ただ懐かしさだけで覗いてみようと思ったんです」  数年ぶりに足を踏み入れた店内。様変わりした商品を眺めながらふと顔を上げたとき、視界が捉えたのは見覚えのあるあの顔でした。 「驚きで声がでませんでした。まさかまたここで彼と再会するなんて。これはもう、運命としか言いようがないと感じました」  結婚したことで封印していた思い出が湧き水の如く次々とよみがえり、「気持ちも一瞬でよみがえりました」とイオリさんは言います。その日を境に再び燃え上がってしまったふたりの思い。 「別に主人に不満があるとか、嫌いになったとかではありません。私も彼も、出会う順番を間違えただけ。あとから聞いたら、彼は私との再会にわずかな望みをかけてあの店に足しげく通っていたらしいのですが、タイミングが違えばすれ違っていたはずですよね。どんなにしたって離れられない運命なら、しかたがないですよ」  運命のいたずらなのか、はたまたただの偶然か……。どちらにしても不倫であることに変わりはないのですが、「運命」と捉えることで罪悪感から解放される免罪符が手に入るのかもしれません。 ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 <TEXT/千葉こころ PHOTO/Joshua Resnick>
千葉こころ
ビールと映画とMr.Childrenをこよなく愛し、何事も楽しむことをモットーに徒然滑走中。恋愛や不倫に関する取材ではいつしか真剣相談になっていることも多い、人生経験だけは豊富なアラフォーフリーライター。
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