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“介護不倫”で美しくなる妻 男のヒトコトが女を恋に走らせた

 誰の身にも、いつ降りかかるかわからない介護問題。介護する側が滅入ってしまわないためにも、負担やストレスを適度に軽減することが大切ですが、その方法は多岐に渡るようです。

限界の生活に訪れた出会い

介護不倫 年の離れたご主人をもつマサエさん(仮名・36歳)は、4歳の娘を保育園に預けて義母の介護に追われる毎日を過ごしています。 「義母が2年ほど前に脳梗塞を患ったことをきっかけに同居し、介護生活が始まりました。主人と結婚するとき、年齢的にも近い将来だろうと覚悟はしていたのですが、娘がちょうどやんちゃ盛りに差し掛かった時期だったので正直負担は大きかったです」  育児と家事に不慣れな介護が合わさっても、仕事人間のご主人から協力を得ることはできず、ひとりですべてをこなしていたといいます。そんな介護生活が半年ほどたったころ、ついにマサエさんは限界を迎え、福祉施設の手を借りることに。 「自分の中でいっぱいいっぱいになっていたんでしょうか、施設のかたとお話をするときに涙が止まらなくなって……。『介護はひとりで頑張らなくていいんですよ』って声をかけていただいたんです。はじめは逃げ出すような負い目を感じていたのですが、安心して頼る気持ちになれました」  週に何度かのデイサービスと月に1度のショートステイを利用し、こもりっきりの介護生活から解放されたマサエさん。施設職員との打ち合わせなどで話し相手ができたことも、嬉しかったといいます。 「義母の担当職員は、あのとき優しく声をかけてくれた男性のAさん。私のメンタル面も気にかけてくれて、顔を出すたび話し相手になってくれました。半年間、育児と介護に明け暮れて誰かとゆっくり話すこともなかったので、打ち合わせが楽しみで仕方なかったですね」  Aさんの優しい言葉と癒される笑顔に、いつしか“恋”のような感覚を抱き始めたというマサエさん。そんなとき、ふと鏡に映った自分の姿に驚愕します。 「たった半年で、5歳くらい年をとったように見えました。考えみれば自分にかまう時間もなく、誰にも会わないことから服も髪型もいい加減になっていたんです。誰がどう見てもやつれ果てたオバさん。急に自分が恥ずかしくてたまらなくなりました」

口をついて出た言葉が招いた予想外の展開

 介護施設の職員男性Aさんに好意を抱いたマサエさんは、「打ち合わせに行くときくらいは」と、少しずつ身なりに気を遣うようになっていきます。そんなある日、Aさんから思いもよらない声をかけられたといいます。 「打ち合わせのとき、『最近のマサエさんはすごく輝いてます』って言われたんです。大したオシャレをしていたわけでもないのですが、秘かな頑張りが伝わったことが嬉しくて、舞い上がってしまいました」  あまりの嬉しさからか、自分でも予想外の言葉が口をついて出てしまったとのこと。 「ゆっくり相談に乗ってほしいことがあるので、近いうちお仕事の後にでも一度お会いできませんか? って、Aさんを誘ってしまったんです。言った後に『しまった!』と思ったのですが、Aさんは少し悩んでから快諾してくれて、義母のショートステイの日に会ってくれることになりました」  ご主人には同窓会とウソをついて娘を託し迎えたAさんとの食事の日。精一杯のオシャレをして隣町の居酒屋で過ごしたAさんとの時間は、想像していた以上に楽しいものになったといいます。 「主人との会話はほとんどなく、唯一の話題は子どものことくらい。一方的に私が話すことを黙って聞いている程度なので、言葉のキャッチボールができたり、Aさんなりの意見を返してくれたりするのがとにかく嬉しかったんです。それでつい、主人のグチもこぼしてしまったのですが、『僕でよければいつでも話し相手になりますよ』って言ってくれて。それからは月に1度、義母のショートステイのタイミングで会うようになりました」

“女”を取り戻すことで割り切れるようになった介護

 毎月1度、秘密の時間を共有することで心の距離を縮めたふたり。しだいに深い話もできるようになっていったそう。 「4回目くらいのときかな、『マサエさん、会うたびにキレイになるね』って言われたんです。Aさんのおかげって返したら、そっと手を握ってくれました。『だとしたら、その気持ちに応えなくっちゃ』って。その日にはじめて彼のたくましい腕に抱かれました」  育児と介護に追われるうち、ご主人との関係は疎遠になっていったというマサエさんにとって、久々に味わう悦び。まして相手はご主人よりも若く、たくましい男性。その日を境に、すっかりAさんにのめり込んでしまったとのこと。 「主人が私を抱かなくなった理由も、今になればわかる気がします。だって、一気に老けたんですもん。それに、主人自体もういい年ですしね。このまま老いぼれていくんだって悲観していた時期もあったんですが、今はAさんのおかげで年相応の“女”を楽しんでいます」  Aさんと出会ったことで、育児や介護、ご主人との関係にも割り切りができるようになったというマサエさん。今は自分を追い込むことなく、すべてをそつなくこなせるようになったそうです。 <TEXT/千葉こころ PHOTO/Victorrustle> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
千葉こころ
ビールと映画とMr.Childrenをこよなく愛し、何事も楽しむことをモットーに徒然滑走中。恋愛や不倫に関する取材ではいつしか真剣相談になっていることも多い、人生経験だけは豊富なアラフォーフリーライター。
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