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AKB48・高橋みなみの『リーダー論』は、働く女性の教科書だ

 AKB48グループの初代総監督で、4月8日にAKB48を卒業する“たかみな”こと高橋みなみ。  多くの女性メンバーをひとつにまとめあげてきた彼女の著書『リーダー論』(2015年12月24日発売・講談社)は、リーダーとしてのノウハウがたっぷり詰まっていると評判です。  発行部数8万部突破(1月14日時点)の本書から、女性がリーダーになるために必要なものを探ってみましょう。

仲良しグループは、料理のようにダマをほぐす

 高橋みなみがリーダーになったきっかけは、AKB48の第一期を引っ張っていたリーダー的存在の折井あゆみ、通称あゆ姉が卒業したことでした。  憧れのあゆ姉のようになれたらいいな。はじめは、そんな想いでリーダーになったそうですが、現在300人を超える女性メンバーがいるAKBグループをまとめるのは大変です。  まず、女性が多い組織で問題になるのが、仲良しグループの存在。仲良しグループはなかなか厄介で、女子の結束力は固く、場合によっては組織を潰しかねません……。 「ボウルに入れた小麦粉を水で溶くと、ツブツブの小さいかたまりができてしまう。ダマです。よく混ぜてダマを全部潰していって、なめらかの状態にしなければ、美味しい料理はできあがりません」 (第四章 ダマをほぐして、チームをつなぐ―たかみな流コミュニケーション術 応用編)  仲良しグループもダマの一つ。このダマをどうやってほぐすのかというと、 「ダマになって固まっているグループを見つけたら、『何の話してるの?』と自分から割って入る、そのダマの中からひとりを連れ出して、別のダマの中へ持っていく。もしくは、別のメンバーを連れてきて、そのダマの中に入れる。そうやって人間関係をまぜこぜに『かきまぜる』ことで『ダマを取る』」そう。 (第四章 ダマをほぐして、チームをつなぐ―たかみな流コミュニケーション術 応用編)  まさに料理と同じで、かたまりを潰していくことで、チームの「ひとりひとり」が個性が発揮される。これは、女性が多い職場や学校でも役に立ちそうです。

「えーっと」と言わず、無言の間を

 高橋みなみと言えば、総選挙などで見せる強い言葉で話すスピーチも印象的です。 「私がスピーチの構成で一番気を付けているのは『太文字になるような言葉の存在』です。イメージとしては漫画の太文字ですね」 (第五章 心を掴むスピーチ術)  たとえば「努力は必ず報われる」という高橋さんの言葉は、努力なんて報われないと嘆くこの時代において印象深いものがあります。もちろん、報われた彼女だからこそ印象的なのですが、どんな組織のリーダーも身を持って証明したことを言葉にすれば、「太文字」としての重みがあります。  また、言葉の「間」も大事にしていると言います。 「スピーチの途中で言葉が詰まってしまって、『うーんと』とか、『えっと』というくらいなら、間を作ったほうがいですね。無言でタメると、人は注目してくれます」 (第五章 心を掴むスピーチ術)  ついうっかり、えーっと……と入れてしまいがちですが、途端に自信がなさそうに見えてしまいます。でも「無言」だと、何か強く思うところがあるのだろうと、人はつい注目するものですよね。  本書には“「ひとりひとり」が「みんな」というチームを作る”と何度か書いてあり、高橋さんがメンバー「ひとりひとり」のことを大事に思う姿がよくわかります。指原莉乃、峯岸みなみ、島崎遥香など、たくさんのメンバーの名前も出てきます。 「ひとりひとり」の気持ちに寄り沿いながら全体を見る心遣いは、女性リーダーの強みともいえそうです。女性の社会進出が進む今、リーダーはもちろんのこと、働く女性に目を通してほしい一冊です。 <TEXT/舟崎泉美> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
舟崎泉美
1984年生まれ。小説・脚本・ゲームシナリオなどを執筆中。著書に『ほんとうはいないかもしれない彼女へ』(学研、第1回・本にしたい大賞受賞作) http://izumishiori.web.fc2.com/
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