美容クリニックで遭遇、イケメン医師で釣る“デート商法”に気をつけて!
昔よりぐっと身近になった美容クリニック。最近は雨後のたけのこのようにボコボコできてて、病院ナビで「美容外科」を検索すると、東京だけで300院もヒットします。GROUPONなどのチケットサイトにもいろんなクリニックのチケットが販売され、レーザーや光治療くらいならかなりお安く受けられるようになりました。
美容クリニックのスタッフって、みんな不自然なほど肌が綺麗なんですよね。シミひとつありません。ドクターたちもめいっぱいオシャレしていて、イケイケです。大手美容クリニックのサイトでは、ドクターのプロフィールや顔写真がズラズラ並んでいたりします。ドクターを指名できるクリニックもあるようなので、なんだかもうホストクラブみたい。
先日、新規オープンした某クリニックに行って来ました。光治療の2回コースです。そこで体験し“要注意”な商法をご紹介しましょう。
カウンセリングルームに入って、アンケートに答え、女性カウンセラーにいろいろ説明を受けました。その後に、院長先生という男性が入ってきて、肌を見て施術内容の確認です。声が小さく、言葉数も少なくて、おとなしそうな20代男性(たぶん)でした。
院長が出ていき、そしてまた女性カウンセラーが入ってくると、
「先生からモデルのお話、聞きました?」と言います。
モデル?
「今、先生が『彼女にモデルをお願いできないかな』って。『先生、自分で言ってくださいよ!』って叱ったんですけど」。
で、どんなモデルをお願いしたいのかしら……。
「ピコレーザー全顔30万円が、特別に21万円で受けられます。その他、ヒアルロン酸注入6万円が4万2000円で。あとは……」
いや待て! それ、モデルじゃなくて単なる割引の提案だよね?
かなり前向きに言ってもそれ、モデルじゃなくてモニターだよね??
「まあ考えときます」みたいなゆるい返事をしたあとも、女性カウンセラーの攻撃は続きます。
「本来はレーザー治療くらいでは院長先生は施術されないんだけど、『僕がやる!』って言ってきかないので、特別に院長先生にしていただきます」
とまあ、全力で“特別扱い”ムードを醸し出されました。
っていうかそこのクリニック、院長先生以外ドクターがいる気配がないんだけど、院長がやらなければ誰がやるんでしょう?
「やだ……、もしかしてこの院長先生、私に気があるの……? もしかして将来は院長夫人??」
とか思えたら、楽しくモデル料をお支払いして通っちゃうんでしょうね。
残念ながらデート商法に騙されるほど精神的生娘じゃないんです。格安チケットで来た客全員に言ってるムード満々だし。
都内に乱立気味の美容クリニック。その顧客獲得作戦は、ホストクラブを通り越してもはやデート商法レベルにまで達してるんですね。ホストクラブならまだしもデート商法には要注意。
<TEXT/和久井香菜子>
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「モデルをお願いできないかな」
「院長が『僕がやる』と言ってきかないので」
和久井香菜子
ライター・編集、少女マンガ研究家。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。英語テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。視覚障害者によるテープ起こし事業「合同会社ブラインドライターズ」代表