月姫、歩音…読めない!ペットにもキラキラネームが流行
「女瑠世死霊亜魔外道」「怖栄螺吾瑠獲富腐漢零」。
最初にこの漢字の羅列を見たときの衝撃といったら。実はこの2つ、ネットで話題になっているとあるペットの名前なのです。それぞれ「メルセデスアーマーゲー」「フェラーリF40」と読むのだとか。
これって本当の話? 注目を集めるために作られた、いわゆる“釣り”じゃ……。
疑っていた筆者の前に驚きの事実が突き付けられました。
「犬の名前ランキング2013」(実施:アニコム損害保険株式会社)によると、オス・メス合わせた名前の総合1位は3年連続で「ココ」。確かによく聞く名前。2位以降続く「チョコ」「マロン」「モカ」とランキングを読み進めていくと……。
キタキタキタァーー!!
「女瑠世死霊亜魔外道」ほどのインパクトには欠けるものの、「彩葉」「音符」「疾風」など読み仮名無しには読めない、一癖ある名前の数々! ランキング外とはいえ、こういう名前が実際にあったのです。
まずはズラッとご覧ください。
心暖=ココア
歩音=ポテト
笑子=ニコ
望愛=ノア
彩葉=イロハ
音符=メロディー
疾風=ハヤテ
月姫=ルナ
煌=キラ
こう見てみると、読み自体は英語だったり、日本語でも古風な印象なものが多いことがわかります。それを力技で漢字に置き換えているんですね。
もしや日本人の隠れたアイデンティティがそうさせるのでしょうか。でもって、ペットの名前を聞かれたら「歩く音って書いてポテトっていうの」と説明するんでしょうか? 何にせよ、並々ならぬ愛情とこだわりを感じますね。
実際に、筆者の周りで起こったペットの名前にまつわるこんなエピソードも。
「友人の犬の誕生日に『さくちゃんへ』とカードを添えておもちゃを送ったんです。後日その友人から来たメールが『プレゼントありがとう。でも、うちの子の名前は“桃桜”で“さくらんぼ”だからね。略さないで欲しかったな』でした……(笑)。思わず苦笑いしちゃいました」(33歳/女性)
せっかくプレゼント送ったのにね……。
しかし、子供のキラキラネームとペットのそれには決定的な違いが。それは、キラキラネームがもたらす社会的な影響。
まず、ヒトであれば、自分の名を名乗る機会は日常的にあり、例えば病院で呼び出されたり、就職試験を受けたり……と、とにかく世間の目に晒される機会が多く、「キラキラネームは就職試験に不利」といった厳しい声まで聴かれるほど。
これに対し、ペットの呼び名はせいぜい家族内でのもの。呼び名が英語だろうが、いくら当て字だろうが、それによってペットの社会的立場が脅かされることはほとんどありません。
隣近所に「『メルセデスアーマーゲーちゃん』とお呼び!」とモンスター飼い主っぷりを見せなければ、ある程度自由度が高くても良いのではと思うのです。
とはいえ、流行は一周するもの。数年後には古風ブーム再来で「ポチ」「たま」のような昭和ネームが溢れたりして。
【犬の名前ランキング 調査概要】
2012年10月1日~2013年9月30日にアニコム損保の「どうぶつ健保」に新規契約した0歳の犬8万8622頭の名前を調査
<TEXT/井上こん>
「音符」「心暖」「望愛」 特徴的な名前がズラリ
子供のキラキラネームと比較してみると
井上こん
’86年生まれ。明治大学農学部中退。120倍激辛麺/1リットルジョッキ酒/ドヤ街宿泊レポ/ローション運動会など、アレな取材多し。「はまれぽ」、「SPA!」などで執筆。TCGにて猫のボランティア活動も。twitter@koninoue