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不倫は悪か?乙武さん騒動を「障がい者と性」の専門家がふりかえる

 今年に入って、有名人の不倫騒動が頻発しています。特に乙武洋匡さんの不倫旅行報道は、彼がさわやか前向き青年だと思われていたことも相まって、大きな議論を呼びました。

 これだけ不倫ネタが尽きないのだから、なにか根本的な問題があるのでは……? そろそろ「不倫バッシング」をするだけではなく、不倫とはなんなのか、どうして不倫が起こるのかを考えてみようと思います。

乙武さんの不倫騒動は「ある意味で健全」



 今回はまず、乙武さんの不倫騒動について、『セックスと障害者』『はじめての不倫学』の著者である坂爪真吾さんにお話を聞いてみました。

 坂爪さんは、重度身体障がい者に対する射精介助サービス「一般社団法人ホワイトハンズ」の代表理事で、障がい者の性に現場で取り組んできました。

坂爪真吾

坂爪真吾さん

――乙武さん不倫騒動に、世間の反応は「不倫なんてひどい!」と叩く人と、少数ですが「障がいがあるのにモテてすごい」と感心する人もいました。坂爪さんはどう感じましたか?

坂爪:まず思ったのは、『どこにでもある話だな』と。乙武さんは不倫をした理由を『妻が母になり、夫婦らしさみたいなものが次第に失われていった』と言っていました。これって不倫の理由として、どこにでもある話ですよね。

――確かに、不倫をする男性のお決まりの文句です。

坂爪:乙武さんが障がい者だから、不倫することに特別な事情があったのではないかと考えがちですが、実はその理由は健常者となんら変わらないんです。

セックスと障害者

2016年4月10日に出たばかりの坂爪さんの著書

――障がい者だろうが健常者だろうが、不倫するヤツはする、ということですか。

坂爪:人間ですから、とうぜん健常者が抱く欲求は障がい者だって持っています。

 そうした性がタブー視される社会ではなくて、こういう事件がどんどん起こって『障がい者も健常者も同じじゃん』『普通のことじゃん』と捉えられるのは、ある意味、健全な社会になってきたということですよね。

 障がいのある人が性的に自立した社会になると、こういう事件が起こるようになるわけです。

――不倫問題が起きて「健全」というのも複雑な気持ちです。

坂爪:障がい者も失恋や不倫など、健常者と同じような悩みを味わう社会は、これこそ平等な社会です。本人にとっては大変かもしれませんが……。

 統計によると、身体障がい者のうち約60%は結婚しているんですよ。どんな人でも人間的魅力があればモテるし、結婚して子どもも持てるんです。

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不倫した個人をバッシングしても意味はない?

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セックスと障害者

障害のある人たちは、どのように自分や他人の性と向き合っているのだろうか。それらの喜びや悩みは、障害の無い人たちと同じものなのか、それとも違うものなのか。一般社団法人ホワイトハンズを立ち上げ、障害者の性の支援に長年携わってきた著者が、「純粋な天使」や「かわいそうな性的弱者」という画一的なイメージを取り払った上で、障害者の性の現状を8つのエピソードから解説。そこから、障害にかかわらず自尊心の基盤であり社会参加の原動力でもある、人間にとっての本来の性のあり方が浮かび上がってくる。


はじめての不倫学 「社会問題」として考える

既婚者が、「不倫」の誘惑に抵抗するためにはどうすればいいか?子どもや若者世代の貧困、ひとり親家庭や生活保護、高齢者の孤独死など社会問題の背景には、「不倫」がもたらす家庭破綻、それに伴う経済状況や健康状態の悪化が潜んでいる。にもかかわらず、「不倫」は個人の色恋沙汰、モラルの問題として捉えられてしまっているのが現状だ。本書では、既存の「結婚」に囚われない多様な在り方を実践している男女への取材をまじえながら、「不倫」を「個人の問題」として捉える視点から脱し、「社会の問題」として捉えなおすことによって「不倫」の予防と回避のための処方箋を提供する。本邦初の実践的不倫学!




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