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桐谷健太「海の声」がCDに。本職じゃない歌が大ヒットした理由

 去年の夏のことでした。明け方4時ごろコンビニで買い物を済ませると、タンクトップに短パン姿の日焼けしたあんちゃんと遭遇。その彼が気持ちよさそうに、ある曲を口ずさんでいたのです。

 auのCMでおなじみ、俳優・桐谷健太が歌う「海の声」。放映開始から1年経っても、いまだ人気は衰えず。最近では音楽番組で歌う機会も増え、9月にはアルバムまでリリースされるとのこと(『香音-KANON』2016年9月28日発売、全6曲)。近年では珍しいロングヒットとなっています。

桐谷の歌は良い意味で“片手間っぽい”



海の声 でも、どうして桐谷健太がよかったのでしょう? 音楽もやる俳優は数多くいますが、日常に入り込んでしまうケースは珍しい。そこで改めて「海の声」を聴いて感じるのは、この曲が“ご大層な”作品ではないということ。それに合わせて、ボーカルも引き算なのですね。

⇒【YouTube】「海の声」 フルver. / 浦島太郎(桐谷健太) 【公式】 http://youtu.be/-zQWavER7to


 ハスキーな声質から熱唱型かと思いきや、さらっとボリュームは控えめに。音楽好きなのは伝わるけれども、押しつけがましくない。ついつい耳を傾けながらも、聞き流せる軽さもある。良い意味で片手間っぽいのです。それが開けっ広げな楽曲にハマって、じわじわと広まっていったのではないでしょうか。

本職じゃないパフォーマンスの抜け感



 こんな風に、今後もミュージシャンでない人のパフォーマンスが増えればいいなと思います。

 海外ではたとえば、大人気ドラマ『ドクターハウス』で知られるヒュー・ローリー。彼は大のブルースファン。ピアノもギターも器用にこなすのですが、かくし芸的な貧乏くささは全くありません。“数ある趣味のひとつ”といった余裕を感じるのですね。

⇒【YouTube】Hugh Laurie – Wild Honey (Live from the RMS Queen Mary) http://youtu.be/yYnJrluzbQY


 人気司会者ジミー・ファロンも芸達者。ニール・ヤングやブルース・スプリングスティーンのモノマネが話題になりましたが、本気でセッションする姿もなかなかのもの。英バンド、ブラーとともに名曲「Tender」のアコースティックバージョンを披露しています。これも、“たまたまブラーがいたからやってみた”ぐらいの雰囲気です。

⇒【YouTube】Blur feat Jimmy Fallon – Tender (The Tonight Show 2015) http://youtu.be/eUQ-YRCMk-0
http://youtu.be/eUQ-YRCMk-0
 彼らだって“片手間”に音楽をやっているわけですが、本職でもないのにここまで客を楽しませることに驚かされます。むしろ根を詰めないからこそ、ふとした瞬間に顔をのぞかせる地力に、はっとするのかもしれません。でも、それってエンターテイナーなら当たり前だよなとも思ったりして……。

<TEXT/音楽批評・石黒隆之>
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石黒隆之
音楽批評。ipodに入ってる曲は長調ばかりの偏食家




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