保育士・介護士から悲鳴が…“事故”につながるブラックな現場
「保育園に入れない!」とママたちが叫んでも、いっこうに解決しない理由のひとつに、保育士不足があります。ハードすぎる仕事のわりに給料が安く、なり手が足りないのです。これは介護士も同じような状況にあります。
そして過酷な仕事や人不足は、保育園での子供の事故や、介護施設での入居者虐待にもつながっているというのです。
そんな中、働く環境のひどさに悩む保育士や介護士の駆け込み寺として、「介護・保育ユニオン」が2016年6月に結成されました。実際に現場ではどんなことが起こっているのか? 同ユニオン代表の森進生さんに話を聞きました。
働く人の相談を受けて、企業との交渉をサポートし、ブラック企業問題にも取り組んできた「総合サポートユニオン」。以前から、保育士や介護士からの相談がたくさん寄せられていたため、今回「介護・保育ユニオン」が発足しました。
「介護・保育ユニオンが発足してから2ヵ月弱ですが、全国から100件を超える相談が寄せられています。割合としては、介護が7割、保育が3割ほど。ただ、どちらも相談内容の傾向は同じなんです」と森さん。
介護と保育ともに相談内容のトップは、「休憩がとれない」「残業手当がつかない」など。
「労働時間が6時間以上だと休憩45分、8時間以上だと休憩1時間が、労働基準法第34条で決められています。
ところが、現場では、休憩中に会議があったりデスク業務をしなければいけなかったり、仕事を離れられないことがほとんどです。きちんと休憩が確保されているという話は、ほとんど聞いたことがありません」(森さん、以下同)
また、残業に関しても、タダ働きになっている人が少なくないそうです。
「労働時間のほとんどは、園児や入居者をケアする実務で手いっぱい。でも、それ以外に書類の記入やイベントの準備、研修など、やることがたくさんある。結果的に残業となってしまいます。
ところが、施設や園が残業だと認めず、賃金が支払われない。とくに保育の世界では『子どものため』という大義名分のもと、先生が自宅に持ち帰って仕事するのが当たり前のようになっています。
これはれっきとした労働基準法違反ですから、書類送検などの対象になるんです」

2か月弱で100件を超える相談が
「子どものために」タダ働きは当たり前!?

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