とはいえ、こういった”現場のブーイング”が、すぐにリストラの理由になるかというと、そう単純ではないらしい。 労働トラブルに詳しい特定社会保険労務士の定政晃弘氏に話を聞いた。
「もともと日本の解雇規制はとても厳しくて、簡単にはクビにできません。たとえば懲戒解雇でも、仕事中に飲酒運転で死亡事故を起こしたり、金銭を横領したりするレベルでないと適用が難しい。
能力不足ぐらいで解雇されたら、訴訟を起こせば無効になる可能性が大きいです」
そこでリストラしたい会社としては、細かい既成事実を積み重ねるのが定石だという。
「例えば、遅刻や欠勤をしている人に口頭で注意したのに、改善が見られないとか。
イエローカードのように、記録が累積していって、リストラの判断材料にされるのです」(定政氏)
同じく600人サラリーマンを対象にしたアンケートでは、「リストラがあるかも・過去にあった」という人は全体の約60%以上を占める。
その一方で、「クビにならないための努力」をしているのは35%。危機感はあるものの実際にはどう行動してよいのか、わからない人が多数派なようだ。
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Q1.現在、あなたの会社でリストラは行われていますか?
今も、今後も予定はない 38%
今後行われる可能性がある 29%
今はないが、過去に実施されていた 21%
大規模ではないが実施中 9%
大規模に実施中 3%
Q2.クビにならないための努力をしていますか?
今後も行う予定はない 36%
今も、今後も行うかどうかわからない 29%
今現在、具体的な努力をしている 20%
今後、行おうと考えている 15%
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リストラ対象にされないためには、先ほど挙げたような「周りからブーイングが出る」ようなイエローカードを、自分が積み重ねていないか、振り返ってみたほうがよさそうだ。
でも、社内の評価ばかり気にしているのはダメなんだとか。
「『潮目力』と言いましょうか。
自分がいる事業、会社、業界の変化を感じ取る能力を身につけましょう。会社の評価基準も時流で変化します。ビジネスモデルの変化に気づけるよう、若手と営業同行に行ったり、街をぶらついたりして、社内だけではなく
社外からも新鮮な知識を吸収するように心がけましょう」(千葉商科大学専任講師 常見陽平氏)
変化の早い時代に、生き延びるって、本当にしんどいことだ…。
―クビになる会社員の特徴【8】―