精神的に余裕がない選手ほど、観客の動きが気になったり、審判のジャッジが気に入らなかったりして文句を言う傾向にあります。錦織選手のトイレが長かったとしても、ナダル選手が苛つかなければ問題にはならなかったでしょう。
一方で、錦織選手がコートに戻ってきたとき、会場からは割れんばかりのブーイングが起こりました。完全アウェイの空気の中で、自分のプレイをすることは簡単なことではなかったはずです。
ファイナルセットは「より冷静を保って自分のプレイをした方が勝ち」という意味で、錦織選手に軍配が上がったように見えました。
ところでこのトイレットブレークには悲喜こもごもあるものです。
守屋宏紀という、たいへんベビーフェイスでジャニ顔な選手がいるのですが、彼が試合中にトイレットブレークを申し出たことがありました。そのとき、審判が、線審をしていた女子大学生に引率の指名をしたんです。せっかく落ち着いて気分を変えようとしているのに、女性にトイレの外で待たれたら集中どころか気になって仕方ないですよね。結局、守屋選手の「えっ!?」という抗議で、男性が引率してましたが……。
また、ウィンブルドンの予選に出場して、緊張のあまり何度もお手洗いに行きたくなったという選手もいます。しかも通常、緊張から来るトイレって小さい方ですが、ウィンブルドンともなるともよおすのは大きい方だったとか……。
<TEXT/和久井香菜子>
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