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加藤はいねの『女の塊』第2回 女の人生は「ドラゴンボール」みたいなもんである

― 加藤はいねの『女の塊』第2回 ―

「上野動物園のパンダ、ことしも交尾を確認!」

 って、NHKのニュースで言ってました。

 う、うん。

 確認は大事です。

 何事もね、思いこみってこともあるからね、確実に確認していかないとねってことだと思います。

 私も仕事柄、かろうじて、首の皮1枚で、看護師みたいな仕事についてるわけで。

 薬や注射なんかは、もう2人がかりで目を皿のようにして確認しますし、麻薬の金庫を触ろうもんなら、先輩ナースたちがまるで銭形のような顔でね、ほんと私の一挙手一投足をね、確認してくるわけです。

 確認は大事。

 で、パンダね。
 交尾してたらしいです。
 確認したそうです。

 オーケーオーケー。パンダについては無事確認が取れました、っと。
 でね、えっと、私の方はどうかな?
 誰か確認とってくれたかな?
 電話してみてー。確認の電話してみてー。

 もうね、未確認なわけですよ。
 私の交尾を見た人なんて、この世に誰もいないわけ。

 これね、すごいことなの。未確認って。
 私の交尾がね、例えば、何かの拍子に空でも飛んだとするでしょ?
 したら、あれだから。
 私の交尾って、未確認飛行物体、別名UFOってことだからー。

 って泣いてる間にも、パンダは2回も交尾が確認されてるわけです。
 どんだけ確認すんだっつー話ですよ。
 パンダもやるときゃやるね。

 そんなわけでパンダなんてぶっちぎって、まるで交尾してない私がいるわけですよ。でも全然保護されることもなく、野ざらしでNHKをぼんやり見てるわけですよ。

 なんで、私が野ざらしでいれるかっていうと、他の人間の女性たちが、私なんか霞むほどの爆発力で、頑張ってくれてるからです。頑張りが確認されてるわけです。

 女性ってのは、ほんとにスゴイと思うのです。

 男の人が「海賊王に俺はなる!」とか言って、仲間たちといつまでもグランドラインをぐるぐるしてる間に、女の人っつーのは、一人でに、すごい成長を遂げてるわけですよ。

 女の人も最初はね、まあなんていうか「海賊王に俺はなる!」みたいな人を、素敵ー!つってね、見つめてた。

 その人を海賊王にするためなら!つって、ドラゴンボールも集めました。

 でもドラゴンボールを集めてるうちに、行く先々で「やっぱ20歳くらいまでには、処女捨てたいよねー」「ヤラハタ(やらずに二十歳)はきつい」つー声が聞こえてくるわけですよ。

 そしたらもう、女性は修行に出るわけですよ。
 でね、かーめーはーめーなんつって、ちっちゃい亀仙人から何らかの奥儀をね夜通し伝授されたりしてね。

 伝授されたらされたで、したらもう、周りは「結婚」という名の「(わたしたちきっと)天下一武道会」に出ろ出ろ言ってくるわけですよ。えー、出るの―? とか言いながら、 まあ親も安心させたいし、とか思って出るわけです。

 まあ、そこそこの結果を残しまして、よしよし、つってドラゴンボール集めようと思ったら、今度は「子供」「子供」言われるわけです。

 いや、子供なんて、まだ……とか言おうもんなら、「5分後にはナメック星が爆発する!」ぐらいの勢いで、「35歳から卵子が劣化すっから」とか言われるわけです。

 じゃあ、産むかってなって、軽い気持ちで産もうもんなら、子供って産むとき平気で3000グラムとかあるわけ。

 殿方が日頃、どんだけ自分の金剛力士像をデカイだのデカクないだの論争してるか知りませんけど、それの10倍くらいのが平気で通過してくっから。

 こんな「行きはよいよい帰りは怖い」ことない。
 もうね、3000グラムをあんなとこから出すとか、おのずとサイヤ人化もしますよね。

 で、子供産んだら産んだで、次から次へと襲ってくるママ友。
 そしてお受験戦争。
 謎の組織、PTA。
 姑との攻防。
 「二人目」という名の、子供アンコール。

 ドラゴンボールが、いつしかボールを集めることを忘れたように、女性たちもいつしか、ボールのことも海賊王のことも忘れ、目の前の敵やママ友がどんどん強くなってゆくのに合わせ、自らもサイヤ人、スーパーサイヤ人、ウルトラ超サイヤ人と、どんどん強くなる。

 あの10代の頃、日直の時に集めてたノートすら、「俺が持つよ」って言われてポッと頬を染めてた女の子たちが、今や、自転車の前と後ろに子供を乗せて、カゴと、両方のハンドルに買物袋を提げて、中国雑技団のように華麗にどっかへ走り去っていく。

 そして終わらない戦い。やっと子供が一人立ちしたと思ったら、今度は魔人ブウもびっくりなスゴイ嫁を息子が連れてくることもある。

 悟空がよく言ってました。
 「オラ強いやつ見るとわくわくすんぞ!」

 まさに、女性たちの戦いは、勝っても勝っても、終わらないのです。

 ただ、まあ、全ての女性たちが悟空ではないしね、ヤムチャみたいに早々に脱落していくパターンもあります。ヤムチャは、最初は結構強い設定だったけど、そっから一貫して強くならず、全員に抜かれて行くってね。ドラゴンボールには欠かせない存在です。

 私も何を隠そう小4くらいまではね、女性たちの中で結構リーダーシップをね、取ってきたつもりなんですけど。
 こっちだーつってね。船が出るぞー!つってね。
 32年出なかったんですけど。

 まあ、そんな風に女性の人生は多岐に富んでいるわけで、どんどん強くなっていく悟空みたいな人もいれば、ヤムチャを極める人もいて、また悔しい思いをしながら悟空を追うべジータみたいな人、ちょっと謎なピッコロみたいな人、色々いるけど、みんなで地球を守って行けばいいんじゃないかな。

 あと、私の未確認飛行物体については、今後もね、確認を怠らないようにしていきます。 <TEXT, ILLUSTRATION/加藤はいね>

ドラゴンボール,加藤はいね【加藤はいね】
32歳。救命救急病棟勤務の看護師。プライベートはツンドラ。24歳のときに立ち上げたブログが、その文体、内容ともに喪女のみならず多くの人の支持を集めて一躍知る人ぞ知るブロガーに。現在執筆中のブログは、『私の時代は終わった』『エロマンティック』




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