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浮気とは違う…オープンな複数愛「ポリアモリー」ってアリ?

やっぱり「嫉妬」を乗り越えるのは大変

 ここで問題になってくるのは、嫉妬という感情です。自分の第1パートナーが新たに第1パートナーを作り、第2パートナーに格下げ(といった表現には語弊があるかもしれませんが)になった場合、相手女性を憎んでしまったりしないのでしょうか。嫉妬心は思わぬところから生まれるもの、飼いならすのも至難の業といえそうですが。  ポリアモリーはフリーセックスとは違い、身体だけではなく精神のふれあいも大切にします。パートナーが複数いるポリアモリーだからこそ、嫉妬心も複雑なのではないか、と勘繰ってしまうのです。 嫉妬 実際、同書によると、ポリアモリスト達の約8割が嫉妬を感じたと言っています。ただ、対処法も実にオープンで、嫉妬心をパートナーに打ち明けたり、嫉妬心を自分のために活用するというのです。具体的には、自分達の関係を改めて考え直す、問題点を洗い出してみる、などでしょう。  そもそも複数恋愛を選んだ、あるいは生まれながらの体質ならば、嫉妬も細分化され、身近になっていくもの。嫉妬心すら味方につけるという考え方は、ポリアモリーでなくても見習いたいところです。

束縛しない愛の形はうらやましくもある

 嫉妬の他に湧き上がる感情は、独占欲ではないでしょうか。ポリアモリーに見る、束縛しない愛の形は、うらやましくもあり信じがたくもあります。  上っ面だけを見てしまえば、不謹慎とかふしだらといった言葉で片付けられてしまいそうなポリアモリー。されど、そこには広くて深い愛情劇が繰り広げられているのです。  SNSだけの交流とか、すべてがドライになりつつある昨今、ポリアモリーは一見新しいようでいて、人間的な関係性は昔気質で熱いと思うのは私だけでしょうか。そして複数恋愛云々に関わらず、人って本質的には熱いつながりを求めているのではないでしょうか。  とにもかくにも、すべての感情のベースは愛。秋風が夏のほてりを冷ましてくれる今日この頃、さまざまな愛の形について、思いを巡らすのも一興です。 <TEXT/森美樹> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 ●森美樹:1970年生まれ。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)を上梓。最新刊『幸福なハダカ』(同)が発売に https://twitter.com/morimikixxx
森美樹
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。X:@morimikixxx
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