ほどなくしてせいろに入った蜂の巣が運ばれてきた。
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蜂の巣
せいろに入った巣を箸でつついてみる。どうやら蜂の子は入っていない……。同時に、2種類のつけだれが供される。トマトと卵のたれと山西省の黒酢だれ。蜂の巣にしては気が利いている。

トマトと卵のたれと山西省の黒酢だれ
おそるおそる巣に箸を入れてみる……。ペナペナしていてまるで粘土細工のようだ。せいろからペリっとはがして口の中に放り込む。
もぐもぐ……。
そばのような何とも言いえない香ばしい粉の香りが鼻腔に抜ける。今までに食べたことのない感覚……。しいて言うなら、そばがきとかそば粉のクレープを平らに伸ばして蒸した感じか。またもペリっとはがして今度は黒酢のつけだれにつける……。黒酢のさわやかさと、穀物の香りがえもいわれぬ絶妙なハーモニー。
あきらかに蜂の巣ではなかった。
落ち着いて先ほどの女性店員に尋ねるとここは、中国山西省の名物料理を供する店、だから山西亭というのだそう。この蜂の巣みたいな一皿は中国語で「ユウ麦(マイ)」といい、麦の一種で作った生地を平らに伸ばして、筒状にしてから蒸籠で蒸し上げた山西省の郷土料理だという。
そもそもなぜ蜂の巣のような筒状にして蒸すのか、その料理へのイマジネーションたるや理解の範疇をはるかに超えている。恐るべし、中国四千年。せっかくなのでほかの名物料理も注文してみる。