Beauty

オシャレの第一歩「姿見」を探して中目黒を徘徊してみた-トミヤマユキコ

―40歳までにオシャレになりたい!Neo トミヤマユキコ―

番外編 服の前に買うべきもの、それは鏡



 40歳までにどうにかオシャレになりたい。具体的には、個性的なおもしろ服=圏外ファッション以外も着こなせるようになりたい。そんなささやかな目標を立て、この連載をがんばっているわけだが、ちょっと前からオシャレになりたいくせに「あるもの」を持ってないのはマズいのでは? と思いはじめた。それを持ってないうちは、センスを磨こうにも磨けない気が……。

「鏡」である。それまでは試着するときぐらいしか真剣に見てなかったが、この連載をはじめてからすごく見るようになった。連載開始から一番変わったことって、自分をちゃんと見るようになったことなんじゃないかと思うくらいだ。けれど、わたしの部屋には姿見がない。

 おかもっちゃん(バンドマンの夫)と同居する際に、彼が姿見を持ち込もうとしたことがあった。だが、リサイクルショップで買ったというその姿見は、赤いプラスチック枠がすでにヨレっとしており、鏡面には以前の持ち主(おそらく小学生)が貼ったと思われるクソださいシールが。彼には申し訳ないが、美観を損ねるという鬼嫁判断で、即刻物置行きとした。以後、われわれ夫婦は姿見のない生活を送っている。

 いま我が家にあるのは、洗面台の壁に取り付けられた鏡と、化粧用の両面鏡の2種類である。どちらも顔をうつすためもので、どうやったって全身をうつすことはできない。不便だ。

 そうなると、外出時に姿のうつるものを探すしかなくなる。最近のわたしは、黒い車をよく利用している(黒い車はよくうつる)。だが、人様の車の前でじっと立ち止まるのはよろしくないので、あくまでさりげなく「たまたま目に入ったんでチェックしてみたんです~」という演技をしてしまう。自意識過剰なのはわかっているが、この小芝居がどうしてもやめられない(小さい人間だわたしは)。

 つまるところ、自宅近辺には、無料で利用できるいい鏡がないのだ。よく芸能人やモデルがインスタグラムで「今日のコーディネート☆」とかいって、エレベーター内の大きな鏡をつかって自撮りをしているが、あのように全身がうつせる鏡(しかもひとりっきりで撮影できる)を見つけるのは、思いのほかむずかしい。みんなも試しにやってみるといい。一般人がイケてる格好のときに丁度いい鏡に出会える確率は、かなり低い

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 こちらの記事は、トミヤマユキコさんの書籍『40歳までにオシャレになりたい!』に収録されました。

書影

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【トミヤマ・ユキコ】
ライター・大学講師。大のパンケーキ好きが高じて著したガイド本『パンケーキ・ノート』(リトルモア刊)が話題に。大学では少女マンガ・サブカルチャーについての講義を担当している。そのほか「週刊朝日」、「文學界」、「ESSE」などで書評・コラムを連載中。ファッションに対して積もり積もったコンプレックスあり。
Twitter @tomicatomica
タイトルイラスト/澁谷玲子

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