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松山ケンイチ×東出昌大、『聖の青春』を語る。「これは同じ志を持った者の純愛もの」

実際の対局を忠実に再現

⇒【写真】はコチラ https://joshi-spa.jp/?attachment_id=621579
『聖の青春』より_4

『聖の青春』より

――対局のシーンで感じたことを教えてください。 松山:長回しのところは、お互いに1時間ずつの持ち時間で2時間ちょっとやったんですけど。 ――実際に2時間以上、対局したんですか!? 松山:そうです。棋譜(将棋の対局での手順を記録したもの)自体はそれほど手数が多くはなくて、1時間ずつなくても指せちゃうんですけど、僕は1時間使いたかった。その時間をフルに使うことで生まれてくることがあるんじゃないかなと。  撮影中は盤面にしか向いていないので、東出くんがどういう顔をしているかも分からないし、手だけで相手がどんな感じなのか見ている。そこで生まれてくるものを僕は待っていたし、もっともっと深いところを目指してたから、絶対に棋譜通りにやりたかった。やっぱりそれが会話になっているわけです。 「負けました」というセリフが一番難しくて。自分の全人生をかけてきたものの終着点といえるのがそこだから。でも最後にああいう「負けました」が出てきたのは、演技じゃなかったです。
『聖の青春』より_5

『聖の青春』より

――贅沢な撮影ですよね。 松山:はい。森監督ってすごいなと思いますよ。 東出:松山さんもおっしゃる通り、棋は対話なり。お互いに譲れないものがあの棋譜にあって、あのときのふたりにあった輝きだった。それを長回しで撮るというのを聞いたときは、そんな試みを役者としてできることがすごく嬉しかったし、僕は「もちろんです」とひとこと言っただけ。本当にかけがいのない、役者人生においてなかなか経験できない時間でした。 ――村山さん、羽生さんを演じ終えた今の気持ちは? 東出昌大さん(左)と松山ケンイチさん_2松山:素晴らしい役に出会えたことに幸せを感じているし、感謝もしているけれど、まだ先に進めないんですよね。燃え尽きちゃったところがある。でもこれから先も役者をやらせていただくし、どこかで戻していかなきゃいけない。村山さんという役も自分の中で切り落としていかなきゃいけない。たぶん公開が終わってからそうなっていくのかな。  今回、僕自身、いろいろなものをもらいました。自分自身の人生を大事にしよう、この限りある人生をと。観客の方にはラブストーリーとして観ていただければと思います。いわゆる男女の恋愛とか、同性愛の恋愛ではないですけど、同じ志を持った者の純愛ものです。 東出:役者という仕事を今後も続けていくうえで光明が見えた。役者という仕事は……言葉にならないんですけど……。こんな言葉にならない宝物みたいなものを得られる瞬間がある仕事なんだと実感しました。そして今後もそれを塗り替えていかないと、と思っています。 <TEXT&PHOTO/望月ふみ> 『聖の青春』は11月19日より全国公開 配給:KADOKAWA (C)2016「聖の青春」製作委員会
望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi
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