――やはり、AR performersのキャラクター作りはこれまでとまったく違いますか?
内田:これまでのゲームキャラクターは、自分の頭のなかでできたとおりに動いていたんですが、今回はそうはいきません。いわゆるデジタル人形浄瑠璃だと思っていまして、僕が原型であるキャラクター像を設定して、ビジュアルをデザインしてくださる方、ダンスを振り付けてくださる方、それを踊ってくださる方、声をあててくださる方。お芝居をする俳優さんもいます。つまり「チーム・シンジ」がシンジを作り上げています。
ステージ裏では、それぞれの職人さんが歌っていたり、踊っていたりしている。ステージ上で起こったことが真実になるんですよ。なので、当然僕の制御の外で動いてしまうことも多々あります。そこが新鮮ですね。生のタレントさんとのお仕事ってこういう感じなんだろうなと。

声優、踊り手などがリアルタイムでパフォーマンスをするため、生のタレントのようだ
――ある意味、人間と同じですね。
内田:ベータライブでも、セリフを噛んだ場面があったんですよ。これ、人間のライブMCだったら普通に起こることじゃないですか。でも、あらかじめ作られた二次元コンテンツのライブだったら絶対に起きない。だからすごく面白かったですね(笑)。決めゼリフを言ったあとに自分で笑っちゃったりとかね。
――ファンの反応はいかがでしたか?
内田:会場には半信半疑で来て下さった方が多かったと思うんですよ。内田の顔を立てて行ってやるかくらいのつもりで(笑)。でも、シンジが歌い終わって、みなさんに目を合わせてリアクションしながらしゃべっている。これを見て、次第に観客席からどよめきが起こって。みなさん、ただのホログラフィックの映像ライブだと思われていたようなんですね。お客さんの「シンジ、いた!」というツイートがうれしかったです。AR performersはその場で一期一会のパフォーマンスを提供する活きたアーティストという風に考えています。