カウンターで美容部員に“夜の誘い”をするオッチャン【美容部員は見た】
こんにちは。関西の百貨店で美容部員をしております、白川 凛(しらかわ りん)です。
女子SPA!にて、高級ブランドの商品じゃなくても実は十分に事足りる「プチプラコスメ」を紹介していますが、今回はそのスピンオフ第2回としまして、いま流行り(?)のモンスター客についてのお話をします。
百貨店の化粧品売場=女だらけのフロア、みたいな感覚って、ここ10年位でだいぶ変わりましたよね。男性化粧品なんかも大手メーカーがこぞって出してきています。
そういえばここ数年、ツルッとしてますよね~、いまどきのメンズ。あんまり見ないですもんね、全顔ニキビで真っ赤っかで悩んでる、とか。
というわけで、化粧品売場に男性のお客様がいらしても、なんの不思議もないご時世ではあります。ところが、今でもいるんです、へんなオッチャンが。
今回はそんなお話。
先日、私がお昼休憩から戻って来たとき、なにやらカウンターに、50代半ばくらいの男性のお客様が座って、うちの女性スタッフと話をしております。
一応、化粧品のテスターがカウンターに数点出ているので、化粧品の説明を聞きにご来店のお客様ではあるようですが、なーんか雰囲気違うんですよね。
何が目立つって、小さいんですよ、そのオッチャン。お客様商売のわれわれが、人の体の事をあれこれ言っちゃいけません。いけないんですけど、目立っちゃって目立っちゃって。だって、いすに座っていながら、足がついてないんですから、足置きのステップに。
平日の昼間という時間帯でお客様も少なく、しかも、すんごいニヤけてうちのスタッフと話をしてるので目立つんですよ。化粧品の話、してるようで、してないしね。
で、興味半分仕事半分で、いやいや、何かあったら売場責任者呼ばないといけませんからね。で、ほとんど大半が興味全開で、カウンター内へ入り、席一つ分くらい空けた所で仕事するふりして立ってました。
すると、やっぱり聞こえてきますね~。全く化粧品と関係の無い話。ガン見することも出来ませんからね、お客様ですから。さり気なく、周りを見渡すように、ちらちら聞き耳立てながら見てました。
ジャケットの内ポケットちらちら見せながらね、「いやいや、君さえ良かったら、やで」とか聞こえてきます。
ナンパか~、まあ、よくあることです。よくあるっていうのは言い過ぎかもしれませんが、まあ、ある話です。驚きません。
けど、ちらちらさせてる内ポケットから、なにかしらの“束”が見えるんです。お札? もしそうだとしたら、軽く100万円位だと思います。実際の100万円の札束を、私は見たことありませんけど、テレビで見たのがあんな感じでしたから。本物かどうかはわかりません、ちらちら、ちらちらだから。
すると、「すみません」と、私の所へお客様がご来店です。いらっしゃいませ、とその場で接客が始まりました。目の前のお客様に集中しなければなりません。が、にやけたオッチャン、とてもとても気になります。
接客しながらも、ちらほら聞こえてくる会話の端々に耳ダンボです。すると、私、耳を疑いましたね。時折、耳に飛び込んでくる単語が、なにやら「エックス」的な「シックス」的な響きの単語です。
え―――っと、昼の2時ですけど!? しかも、ここで、夜のお誘い!? しかも、その単語。露骨すぎちゃうん?
誘われてる当の女性スタッフも、初めは顔を赤らめたりもしてましたが、次第に呆れ顔で、失笑に変わってました。
すると、にやけたオッチャン、席を立ちながら、正確にいうと、よいしょ、って感じで飛び降りてましたけど、
「いやいや、オッチャンな、怪しいもんちゃうねん、怪しいもんちゃうねんで」。
怪しくない人は、怪しいって言葉、使いません。
「怪しないからな、名刺置いていくさかいな」
と、札束とは逆の内ポケットから素早く名刺を取り出し、カウンター越しにスタッフに名刺を渡して去っていきました。
もうね、笑っちゃってるの、スタッフが。
私、接客終わるや否や、その子の所に飛んでいきましたよ。見せてもらった名刺の肩書きがこれです。
『癒しの催眠術師 ○○ ○○(名前)』
怪しさ抜群ですやんっ! しかも、ばっちり写真付き!
ちなみにその後、また来ました。「癒やしの催眠術師」。なんと、奥さんらしき人といっしょだったんです。こっちを全く見ずに、おとなーしく通り過ぎていきました。
<TEXT/白川 凜 ILLUSTRATION/Aurelko>
【白川 凜】(しらかわ りん)
関西在住の30代、百貨店の現役美容部員。ナチュラルコスメでスキンケアアドバイザーとして15年、従事している。「高い化粧品を使っていると豪語する人ほど、綺麗な人が少ない」と気づき、お金をかけずに綺麗になれることを追求するため、日々、さまざまなスキンケアを自ら試している。情報源はドラッグストアとインターネット。最近は、「プチプライスで実力派揃いのネットが熱い!」
女子SPA!にて、高級ブランドの商品じゃなくても実は十分に事足りる「プチプラコスメ」を紹介していますが、今回はそのスピンオフ第2回としまして、いま流行り(?)のモンスター客についてのお話をします。
化粧品売場にやってきた謎のオッチャン
百貨店の化粧品売場=女だらけのフロア、みたいな感覚って、ここ10年位でだいぶ変わりましたよね。男性化粧品なんかも大手メーカーがこぞって出してきています。
そういえばここ数年、ツルッとしてますよね~、いまどきのメンズ。あんまり見ないですもんね、全顔ニキビで真っ赤っかで悩んでる、とか。
というわけで、化粧品売場に男性のお客様がいらしても、なんの不思議もないご時世ではあります。ところが、今でもいるんです、へんなオッチャンが。
今回はそんなお話。

一応、化粧品のテスターがカウンターに数点出ているので、化粧品の説明を聞きにご来店のお客様ではあるようですが、なーんか雰囲気違うんですよね。
何が目立つって、小さいんですよ、そのオッチャン。お客様商売のわれわれが、人の体の事をあれこれ言っちゃいけません。いけないんですけど、目立っちゃって目立っちゃって。だって、いすに座っていながら、足がついてないんですから、足置きのステップに。
平日の昼間という時間帯でお客様も少なく、しかも、すんごいニヤけてうちのスタッフと話をしてるので目立つんですよ。化粧品の話、してるようで、してないしね。
で、興味半分仕事半分で、いやいや、何かあったら売場責任者呼ばないといけませんからね。で、ほとんど大半が興味全開で、カウンター内へ入り、席一つ分くらい空けた所で仕事するふりして立ってました。
100万円の札束をチラチラさせながら
すると、やっぱり聞こえてきますね~。全く化粧品と関係の無い話。ガン見することも出来ませんからね、お客様ですから。さり気なく、周りを見渡すように、ちらちら聞き耳立てながら見てました。
ジャケットの内ポケットちらちら見せながらね、「いやいや、君さえ良かったら、やで」とか聞こえてきます。
ナンパか~、まあ、よくあることです。よくあるっていうのは言い過ぎかもしれませんが、まあ、ある話です。驚きません。
けど、ちらちらさせてる内ポケットから、なにかしらの“束”が見えるんです。お札? もしそうだとしたら、軽く100万円位だと思います。実際の100万円の札束を、私は見たことありませんけど、テレビで見たのがあんな感じでしたから。本物かどうかはわかりません、ちらちら、ちらちらだから。
すると、「すみません」と、私の所へお客様がご来店です。いらっしゃいませ、とその場で接客が始まりました。目の前のお客様に集中しなければなりません。が、にやけたオッチャン、とてもとても気になります。
接客しながらも、ちらほら聞こえてくる会話の端々に耳ダンボです。すると、私、耳を疑いましたね。時折、耳に飛び込んでくる単語が、なにやら「エックス」的な「シックス」的な響きの単語です。
え―――っと、昼の2時ですけど!? しかも、ここで、夜のお誘い!? しかも、その単語。露骨すぎちゃうん?
「怪しいもんちゃうねんで!」 その正体は
誘われてる当の女性スタッフも、初めは顔を赤らめたりもしてましたが、次第に呆れ顔で、失笑に変わってました。
すると、にやけたオッチャン、席を立ちながら、正確にいうと、よいしょ、って感じで飛び降りてましたけど、
「いやいや、オッチャンな、怪しいもんちゃうねん、怪しいもんちゃうねんで」。
怪しくない人は、怪しいって言葉、使いません。
「怪しないからな、名刺置いていくさかいな」
と、札束とは逆の内ポケットから素早く名刺を取り出し、カウンター越しにスタッフに名刺を渡して去っていきました。
もうね、笑っちゃってるの、スタッフが。
私、接客終わるや否や、その子の所に飛んでいきましたよ。見せてもらった名刺の肩書きがこれです。
『癒しの催眠術師 ○○ ○○(名前)』
怪しさ抜群ですやんっ! しかも、ばっちり写真付き!
ちなみにその後、また来ました。「癒やしの催眠術師」。なんと、奥さんらしき人といっしょだったんです。こっちを全く見ずに、おとなーしく通り過ぎていきました。
<TEXT/白川 凜 ILLUSTRATION/Aurelko>
【白川 凜】(しらかわ りん)
関西在住の30代、百貨店の現役美容部員。ナチュラルコスメでスキンケアアドバイザーとして15年、従事している。「高い化粧品を使っていると豪語する人ほど、綺麗な人が少ない」と気づき、お金をかけずに綺麗になれることを追求するため、日々、さまざまなスキンケアを自ら試している。情報源はドラッグストアとインターネット。最近は、「プチプライスで実力派揃いのネットが熱い!」
白川 凜
しらかわ りん。関西在住の30代、百貨店の現役美容部員。ナチュラルコスメでスキンケアアドバイザーとして15年、従事している。「高い化粧品を使っていると豪語する人ほど、綺麗な人が少ない」と気づき、お金をかけずに綺麗になれることを追求するため、日々、さまざまなスキンケアを自ら試している。情報源はドラッグストアとインターネット。最近は、「プチプライスで実力派揃いのネットが熱い!」