「Eテレが攻めているのは今に始まったことではないと思います。
『ねほりんぱほりん』のようにターゲットを明確に大人に絞った番組が増えたことで、改めて注目されているんでしょうね。だって、例えばノッポさんがしゃべらないでゴン太くんがムゴムゴ言ってるだけの『できるかな』も、超前衛だったと思うんですよ。『ピタゴラスイッチ』のような番組だって前からあったわけですしね」
確かに、それらの番組の独特でシュールな世界観からは、“作りたいものを自由に作っている”という攻めの姿勢が感じられます。その姿勢は、朝夕の時間帯に放送されている完全なる子ども向け番組においても変わりません。

「みいつけた!」(NHK)の公式ページより http://www.nhk.or.jp/kids/program/miitsuketa.html
「『みいつけた!』では、
宮藤官九郎さんが作詞、星野源さんが作曲、大人計画の三宅弘城さんが歌って踊る曲があるのですが、この顔ぶれって僕らはテンションが上がりますが、子どもにとってはそれほど意味はない(笑)。
でも、彼らのような人たちを起用することで、
白いものは必ずしも白ではない、1+1は必ずしも2ではないという、世の中をまっすぐに見ないことの面白さが伝わると思うんです。そういうものを子どもの頃から見て感性を豊かにすることって、立派な情操教育だと思うんですよね。画一的な学校生活の中で失われてしまう多様性を、Eテレが頑張って見せてくれている気がします。
『ねほりんぱほりん』にしても、民放だったら
『山里亮太とYOUがいるのにわざわざ人形にする必要なくない?』『薬物中毒者の女性の顔とか、むしろ出した方がいいんじゃないの?』とか言われてしまい企画書が通らなそうなところを、あのスタイルでやってしまう。つまりEテレの番組って『この人を出しとけばおいしい』『これはマストでしょ』といった視聴率を取るためのテレビのセオリー的な保険がなく、
『楽しい』『面白い』の一点突破なんです」
それにしても、スポンサーなどへの配慮から自主規制が進み、民放の番組がおしなべて「おとなしくなった」と言われる昨今において、なぜEテレはかくも自由に攻めているのでしょうか?