●あなたのことはそれほど 4月18日（火）スタート／TBS系列 出演：波瑠、東出昌大、仲里依紗、鈴木伸之 　渡辺美都（波瑠）は涼太（東出昌大）という夫がありながらも、学生時代に思いを寄せていた有島光軌（鈴木伸之）と再会して恋心が再燃してしまう。ただ有島にも妻の麗華（仲里依紗）がいて……。 「逃げるは恥だが役に立つ（2016年）」「カルテット（2017年）」と人気作品が続く火曜22時枠に今クール登場したのは、不倫がテーマのドラマ。 　原作のマンガでの主人公・美都は、ひと言で言うとめちゃくちゃズルい女だ。打ち込む仕事もなく、とりあえず“二番目に好きな人”と人生の妥協点を見出したような結婚。そして自らの浮気をきっかけに家庭生活が崩壊……。ストーリー上、旦那が精神を病んでいくのは、そもそも美都のせいなのでは？ とも感じた。 　ただ、既婚者の友人は同じ作品を読んで「刺さるわ～、共感するわ～」とうっとりしていた。これは独身者ゆえの見解の狭さなんだろうかと思って読んでいたところに助っ人が登場する。美都の友人で独身の、正論でアドバイスをする飯田香子（ドラマでは大政絢が演じる）だ。不倫を続ける有島と話す香子は、独身のお前にはわからない、という彼の態度に怒りこう怒鳴るのだ。 「同じ立場にないと物事のとらえ方が違うから分からない。全ての感情は経験を伴わないとわかりえない、という考え方はすごく幼稚で多角的にモノを見られないと思うんですけど」 　その通りと、なんだか救われたような気持ちに。今まで見てきた不倫モノのドラマは総じて周囲を振り回す不倫を“純粋な愛だ、恋だ”とする傾向が強かった。ただこの作品は不倫を擁護する内容ではなく、正論で諭す人物も登場してくるのである意味、安心して読んでいられた。 　そんなズルい女を清純派のイメージが強い波瑠がどんなふうに表現するのかが、このドラマの決め手かもしれない。未婚者をイラつかせて、既婚者を共感させる。この難しい演技を彼女独特の瑞々しさで乗り切ってほしい。 　そして「原作とイメージが違うのでは？」と話題なのが東出昌大のビジュアル。マンガでは「子熊ちゃん」と呼ばれている野暮ったさを、長身でさらに“小顔ちゃん”がどう攻めてくるのか、こちらも臨戦態勢を整えて待っていよう。 ＜TEXT／スナイパー小林＞ ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 【スナイパー小林 プロフィール】 ドラマ解説、芸能、恋愛、カルチャー、美容・健康ネタ好きのライターであり、編集者であり。執筆や編集を手がけた媒体は100冊以上。約20年以上ドラマをこよなく愛し、ついには趣味が仕事になった幸せ者のアラフォー。Twitter：@hisano_k