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ひどい母、イジメ、中卒…22歳の女性を救った言葉【女性の貧困】

 バツイチ風俗嬢の藤村綾です。あたしが見てきた、過去に闇を持つ風俗嬢の話を書きたいと思います。

 今回はぺろ(仮名・22歳)の物語です。

中学で犬みたいにイジメられた――ぺろ・22歳の場合



「ぺろちゃんってさ、なんで『ぺろ』ってゆう名前なの?」

 隣に座っている先輩風俗嬢のミサトさんが唐突にきいてきた。送迎車に揺られている、午後6時。帰宅ラッシュの真っ只中だ。

13e4ceb3a7522b74b4d7b52b23830041_s「こんな渋滞時に呼ぶなよ」

 あたしはタバコも吸えない車内で苛立っていた。そこで、この質問だ。「空気読めよ」あたしは心の中で毒づく。

 ミサトさんは天然素材で年齢不詳。なんで風俗嬢ってみんなこうなのだろうか。あ、そういうあたしも風俗嬢だった。あたしは、心の中で見えない舌を出す。

「昔飼っていた犬の名前がペロなんですよね~」

 肩をすくめながら、ワンワンと犬の鳴き真似を付け足す。

「ふーん」

 ミサトさんは、自分からきいておいてそれだけの返事をよこした。送迎車はまだ渋滞にはまっている。あたしは、はぁ、と聞こえないため息をつく。

 本当は違う。なぜ『ぺろ』にしたのか。中学のときのあだ名が『舐め犬』だったからだ。有り体にいえば、犬のようにいじめられていたのだ。赤い首輪をつけられて首をしめあげられたこともあった。

母への復讐のため、18歳で風俗嬢に



 中学2年生からイジメが始まった。実家は借家で貧乏だった。母親と2人暮らしだったが、母親はしょっちゅう違う男を連れてきた。母親は男がいれば機嫌がよく家事も洗濯もするが、男がいなくなればあからさまに憔悴して家のことをなにもしなくなり、あげく、あたしに手をあげた。

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写真はすべてイメージです

 洗濯もしてくれず、連続で同じ体操服を着ていったら、「くっさー」と、クラスの女子から鼻をつままれ、「これ舐めろよ」と差し出されたのは、汚い上靴だった。

「そんな臭い体操服を着てくるくらいなら、上靴なんて綺麗なものだよねー、舐めろよー」

 1人がいうとまた1人と連鎖して、手を叩きながら「舐めろ」「舐めろ」と、あたしの回りでコールがかかった。屈辱だった。けれど、舐める以外、この状況から抜け出す方法など思い当たらなく、汚い上靴を舐めた。

 口の中が麻痺をしていて味がしなかった。音も聞こえない。ただ外野からは、「舐め犬」「舐め犬」という声が飛び交っていた。イジメはエスカレートしていき、学校を休みがちになった。

 けれど、母親は学校に行かないあたしを知っていても何も言わなかった。そのころから夜遊びを覚えた。14歳。夜の世界の人はあたしに対してちやほやした。

「いいお金になるよ」

 知り合った男に言われて“売り”をはじめた。すでに世界がグレーに見えた。たまに家に戻ると母親は男と布団で寝ていた。帰る場所はない。あたしは決めた。頭も悪い、顔も悪い。よいところはただ1つ、この若い身体だけ。あたしは、18歳になりすぐに風俗嬢になった。

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サラリーマンのお客さんに言われた言葉

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