翌日。薬が効いたのか、熱が下がり、本人も元気な様子。安心したが、とりあえず処方された薬はまた飲まなくてはならない。
そこで私はあのCMを思い出した。
「お・く・す・り飲めたね♪」
あれだ、あれだ! 急いで薬局に向かい、服薬ゼリー「おくすり飲めたね」を購入し、娘に向かって「これがあれば大丈夫!」と自信満々に見せると、娘も目をキラキラさせて、「これで辛くないのね!」とワクワクした表情になった。
もう風邪なんて治っているように感じるが、今後のため、とりあえず試してみよう。少量のゼリーに小粒の錠剤をいれ、口に含むとつるんと喉を通る仕組みらしい。
娘はゼリーに包まれた錠剤をおそるおそる口にいれると、ごくりと飲む動作をした。やったか、ついにお薬問題を解決することができたか!?
娘はその後も何度もごくりと飲む動作を続けている。
「ん? どうした?」
すると娘はゼリーの中からキレイに錠剤だけを取り出し、「のめないぃぃぃ~!」と泣きはじめたのだ。
恐るべし、錠剤! おくすり、飲めないじゃん!
それから、ゼリーでお腹がいっぱいになるくらい何度も挑戦するも、不発。むしろ、よくキレイにゼリーだけ食べれるなと思うほどだ。
娘はもう限界に達している。そして、私に向かってこう言った。
「もう風邪治らなくていい!」
だよね……。お薬を飲むことがこんなに辛いなら、風邪でいたほうが楽だよね……。娘はその日、薬を飲まずに寝ていただけで夜には全快し、月曜日には元気に学校に向かったのだった……。
娘はその後、「おくすり飲めたね」だけでなく、同型のウィダーインゼリーにさえも拒否反応を示すようになったことをここに記しておく。
ねぇ、みなさん、どうやって飲ましているの……。そして、お願いだからお医者様……小学生がつるんと飲めるお薬の開発、お願いします……!
<TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ>
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【吉田可奈 プロフィール】
80年生まれ、フリーライター。西野カナなどのオフィシャルライターを務める他、さまざまな雑誌で執筆。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘は“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(
@singlemother_ky)

- ママ。80年生まれの松坂世代。フリーライターのシングルマザー。逆境にやたらと強い一家の大黒柱。

- 娘(8歳)。しっかり者でおませな小学3年生。イケメンの判断が非常に厳しい。

- 息子(5歳)。天使の微笑みを武器に持つ天然の人たらし。表出性言語障がいのハンデをものともせず保育園では人気者
【ワタナベチヒロ プロフィール】
漫画家、イラストレーター。お金にまつわる役立つ知識をオールマンガで1冊にまとめた著書『
お金に泣かされないための100の法則』(ファイナンシャルプランナー山口京子先生が監修)が主婦と生活社より発売中。
※このエッセイは月ごとに配信予定です。