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助けて!子どもに風邪薬を飲ませるのが怖い【シングルマザー、家を買う/65章】

最後の砦、服薬ゼリー

 翌日。薬が効いたのか、熱が下がり、本人も元気な様子。安心したが、とりあえず処方された薬はまた飲まなくてはならない。  そこで私はあのCMを思い出した。「お・く・す・り飲めたね♪」  あれだ、あれだ! 急いで薬局に向かい、服薬ゼリー「おくすり飲めたね」を購入し、娘に向かって「これがあれば大丈夫!」と自信満々に見せると、娘も目をキラキラさせて、「これで辛くないのね!」とワクワクした表情になった。  もう風邪なんて治っているように感じるが、今後のため、とりあえず試してみよう。少量のゼリーに小粒の錠剤をいれ、口に含むとつるんと喉を通る仕組みらしい。  娘はゼリーに包まれた錠剤をおそるおそる口にいれると、ごくりと飲む動作をした。やったか、ついにお薬問題を解決することができたか!?  娘はその後も何度もごくりと飲む動作を続けている。 「ん? どうした?」  すると娘はゼリーの中からキレイに錠剤だけを取り出し、「のめないぃぃぃ~!」と泣きはじめたのだ。  恐るべし、錠剤! おくすり、飲めないじゃん!  それから、ゼリーでお腹がいっぱいになるくらい何度も挑戦するも、不発。むしろ、よくキレイにゼリーだけ食べれるなと思うほどだ。  娘はもう限界に達している。そして、私に向かってこう言った。 「もう風邪治らなくていい!」  だよね……。お薬を飲むことがこんなに辛いなら、風邪でいたほうが楽だよね……。娘はその日、薬を飲まずに寝ていただけで夜には全快し、月曜日には元気に学校に向かったのだった……。  娘はその後、「おくすり飲めたね」だけでなく、同型のウィダーインゼリーにさえも拒否反応を示すようになったことをここに記しておく。  ねぇ、みなさん、どうやって飲ましているの……。そして、お願いだからお医者様……小学生がつるんと飲めるお薬の開発、お願いします……! <TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 【吉田可奈 プロフィール】 80年生まれ、フリーライター。西野カナなどのオフィシャルライターを務める他、さまざまな雑誌で執筆。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘は“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky【ワタナベチヒロ プロフィール】 漫画家、イラストレーター。お金にまつわる役立つ知識をオールマンガで1冊にまとめた著書『お金に泣かされないための100の法則』(ファイナンシャルプランナー山口京子先生が監修)が主婦と生活社より発売中。 ※このエッセイは月ごとに配信予定です。
吉田可奈
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、出版社に入社、その後独立しフリーライターに。音楽雑誌やファッション雑誌などなどで執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。長男に発達障害、そして知的障害があることがわかる。著書『シングルマザー、家を買う』『うちの子、へん? 発達障害・知的障害の子と生きる』Twitter(@knysd1980
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年収200万円、バツイチ、子供に発達障がい……でも、マイホームは買える!

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