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夏に“抜き襟”は危険!恐怖のセミ事件【シングルマザー、家を買う/66章】

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 バツイチ、2人の子持ち、仕事はフリーランス……。そんな崖っぷちのシングルマザーが、すべてのシングルマザー&予備軍の役に立つ話や、役に立たない話を綴ります。


 恐怖の夏がやって来た。

 我が家は東京都内にあるのだが、セミ発祥の地なのかと思うほどセミが多い。この季節になると、セミの鳴き声がうるさすぎて会話もままならないし、夏の終わりになると、冗談でなく1mおきにセミの亡骸が転がっている。セミがゴキブリよりも苦手な私と娘、そして息子にとっては切実な問題なのだ。

 セミは、全力で生きている。そりゃそうだ、生後7年間も土の中にいて、最後の1週間だけ地上に出ることができるのだから。私だって老後に最後にハワイに行けるとしたら、はしゃぐにちがいない。

 しかし、セミははしゃぎすぎる。自転車に乗っている私のおでこをめがけて思いきり飛んで私を転倒させたり、死んだと見せかけて団地の踊り場という一畳くらいの範囲で最後の舞を見せたりする。心臓に悪すぎる。もうこちとら死活問題なのだ。命がいくつあっても足りない。

 セミがかわいいという友人は「セミはなにもしないから、怯えるあんたがおかしい」と言ってくるが、そんなこと知ったこっちゃない。どんな逆境だって前向きに乗り越えてきた私だが、セミの怖さだけは乗り越えられない

 私がセミに怯える姿を見ているため、娘と息子も自然とセミが大嫌いになった。これぞ、遺伝である(違うか)。娘は抜け殻は触れるものの、息子は近くに行くだけで大騒ぎし、普段どんなに転んでもムクッと起き上がる強さをもっているのに、バリバリっとうごくセミを見ると号泣する。

恐怖の“抜き襟”セミ事件



 そんなある日、事件は起こった。

 娘と、その友達親子と夜に犬の散歩をしていると、「セミの孵化する姿を見よう」と娘の友達が言ってきたのだ。これは娘にとって、勉強になること。孵化するところだけならいいだろうと思い、団地の裏の公園に足を踏み入れると、もうそこではセミの大集会が開かれていた。ライブハウスかというほどの鳴き声の合唱、そして木と葉っぱにはぎっしりと抜け殻がはりついている。もう地獄絵図でしかない。

シングルマザー、家を買う/66章

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シングルマザー、家を買う

年収200万円、バツイチ、子供に発達障がい……でも、マイホームは買える!

シングルマザーが「かわいそう」って、誰が決めた? 逆境にいるすべての人に読んでもらいたい、笑って泣けて、元気になる自伝的エッセイ。

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