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Facebookは心のかさぶたをはがす|燃え殻インタビュー

何度デロリアンに乗っても無理。でも、感謝は言いたかった

――かおりのモデルになった女性との“2”はない? 燃え殻:実は、cakesで連載していた頃までは、「今の自分だったら彼女とうまくいく」って本気で思ってたんです。連載を読んだ糸井さんに「叫びみたいだね」って言われたんですけど、本当にそうで、あの頃はかさぶたを剥がして血がぴゃーって出ているのを見せていただけだった気がします。  それを今回、一冊の小説として時系列に並べていく作業の中で、その時起こった出来事や自分の感情を整理していったら、あ、僕は彼女と何度やり直しても別れるだろうって気づいたんです。  インタビューとかで、「今回の小説で彼女のことは成仏できました!」ってつい喉越しがいいから言っちゃうんですけど、成仏できたっていうより、整理がついたというか、自分がガキだったってことがわかった。デロリアンに乗ってもう一回会いに行ってもうまくはいかなかった。でも、感謝は言いたかった。っていう感じですかね。 燃え殻さん_4

「さよなら」と言える別れの方が少ない

――そんなにも大きなかさぶたを残した“かおり”ですが、「今度CD持ってくるね」が彼女との最後の会話というのが印象的です。本作にはかおりとの関係に限らず、ボクとさまざまな人との「別れ」が描かれていますが、どれも突然であっけないものばかりですね。 燃え殻:自分の人生で、ちゃんと「さよなら」しなかったことが多かったからだと思います。専門学校が潰れちゃったのもそうだし、会社でも「昼めし食ってきます」って言ったきり帰ってこない人とかいっぱいいたし。「会社辞めます。六本木の公園に原付を置いておいたんで」って電話がきて、取りにいったら原付のシートに貼られたポストイットに「すみません」って書いてある、みたいな(笑)。  これが最後だね。最終回だね。いままでありがとう、みたいな別れって、実はあんまりないと思うんです。一対一でビシッと別れることを僕が避けたり向こうが避けたりすることは多いと思うんですけど、しっかり別れました。今始まりました。じゃない、グラデーションの中でみんな生きているんだと思います。 ※近日公開予定の後編では、書籍の担当編集者・宮川直実さんも交えて、男女の恋愛観の違いについて語り合います。 ―燃え殻インタビュー 前編― <TEXT/女子SPA!編集部 PHOTO/山川修一> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
女子SPA!編集部
大人女性のホンネに向き合う!をモットーに日々奮闘しています。メンバーはコチラ。X:@joshispa、Instagram:@joshispa
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