ゲイを告白して、親と7年会えなかった。LGBT当事者の苦悩と救い
LGBTへの理解が深まりつつある昨今でも、カミングアウトは当事者にとって大きな壁。
今回、家族へのカミングアウト体験を語ってくれたケイスケさん(仮名/32歳)の場合も、両親は受け止めてくれず、HIV検査を受けるよう言われてしまいます。その後もわだかまりが残り、ケイスケさんは家を飛び出してしまったのでした(前編)。
仲間に助けられながら、ひとり暮らしをはじめたケイスケさん。携帯番号を変え、LGBTに理解のある仕事先も見つけ、自分らしく生きるべく人生の再スタートを切りました。
「ひとり息子として、両親を捨てるような行動は胸が痛みましたが、もう自分の存在自体が親不孝だなって。それなら、傍にいない方が両親も幸せだろうって思ったんです。
それでも、両親のことはずっと気になっていましたよ。でも、連絡すら許されない気がしたので、家を出てからは音信不通になっていました」
本当はLGBTである自分を責める必要なんか全くないのに、そういう苦しさに追い込まれてしまう状況に胸が痛みます…。
何度か家の最寄り駅に降り立ったこともあるそうですが、「自分はもう息子じゃない」と思い、引き返したそう。
「勘当されたわけでもないのに、なんでしょうね(笑)。両親へ顔向けできない申し訳なさ、理解してもらえなった悲しみ、仕打ちに対する怒り……いろんな感情が渦巻いて、どうすることが正解なのかわからなくなっていたんだと思います」
それでも数年経つと、両親のことを思う時間は自然と少なくなっていったそう。
「慣れでもあり、諦めでもあり。だんだんと“今”が中心になっていきました。仕事で責任ある立場を任されて、忙しくなったこともありますしね」
しかし、そんな多忙な生活がケイスケさんの感情に変化をもたらします。
「部下を持つと、教育しなきゃいけないじゃないですか。そうすると、思ってもみないことを言われたり、想定外の行動をとられたりすることもあるんですよね。そのせいで自分が苦悩したり。
でも、そうやって手をかけているうちに、育てる喜びや苦労がわかるようになって、はじめて親の気持ちが理解できたんです」
親のそれとは違うと思いつつも、「これがわが子だったら」と置き換えたとき、カミングアウトで受けたショックや、それでも親子関係を維持しようとしてくれた両親の思いを、痛いほど感じたそうです。
両親を捨てた、という罪の意識が…

上司になってはじめて気づいた親の思い
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