再び両親のことを気にかけるようになったケイスケさんですが、すぐには行動に移せずにいました。しかし、30歳で独立のチャンスを掴み、自分の店を持つタイミングで実家に連絡する決意をします。家を飛び出してから7年の月日が経っていました。
「会いに行く勇気はなかったので、電話で『お店をオープンするから、もしイヤでなければプレオープンに来てほしい』と伝えました」
電話口では7年ぶりの連絡を喜んでくれているムードでしたが、「父さんと相談するわね」という返事。ケイスケさんは「まだ受け入れてもらえていない」と感じ、来てくれないだろうとの思いでプレオープンの日を迎えます。ところが……。
「
一番に来てくれたお客さんがね、両親だったんです。しかも、
抱えきれないくらい大きな花束を持って。3人で涙を流しながら抱き合いました」
ただ、7年ぶりに再会した両親は、ケイスケさんの記憶よりかなり年老いていたといいます。
「それだけ苦労を掛けたんでしょうね。これからは私が責任をもって両親を支えなきゃ、これまでの親不孝を返上しなきゃって、気持ちが固まりました」
その日を境に実家へ戻ったケイスケさん。今は店長として働きながらも、空いた時間で精一杯の親孝行をしているそうです。
「7年のあいだに、
両親もLGBTを理解しようと努力してくれていたようです。でも、まだ完全にウェルカムではないでしょうから、配慮はしています。それでも今は、家族で過ごせる幸せを実感している毎日です」
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LGBTを親にカミングアウトしたら…【後編】―
<TEXT/千葉こころ>
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ビールと映画とMr.Childrenをこよなく愛し、何事も楽しむことをモットーに徒然滑走中。恋愛や不倫に関する取材ではいつしか真剣相談になっていることも多い、人生経験だけは豊富なアラフォーフリーライター。