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愛も性も、すべてを一人に求める結婚には無理がある【こだま×渡辺ペコ】

嘘や矛盾を抱えて続いていくのが夫婦

こだま:ただ、夫はどう思っているのか……。『1122』で、セックスレスになったきっかけの記憶が夫婦で食い違っている場面がありましたよね。私も自分に都合良く書いているけど、夫の言い分は全然違うかもしれないなって思いました。 渡辺:夫婦ってある程度、嘘や矛盾を含んだ関係だと思うんです。不倫に限らず、お互いに関係の破綻を恐れて言えずにのみ込んでいることがあったり、あいまいな気持ちの変化を見ないふりしていたり。でも、人間同士なのでそれが普通だと思うんです。  個人的には、この本はこだまさんから夫さんへの強烈なコールだと思いました。いつか何らかの形で、夫さんからレスポンスが返ってくるといいなと思います。 こだま:本当は執筆活動していることも隠さず、オープンにできたらいいんでしょうけど、そしたら私は夫の目を気にして何も書けなくなるし、こういう活動は一切していないと思います。 渡辺:こだまさんにとっては、家庭の世界も、執筆の世界も、どちらも大切だし、どちらも必要だったんですね。 こだま:私の場合、誰かを好きになることはもうないと思いますが、執筆活動という意味では心が外に向いてしまっているわけで。『1122』で婚外恋愛をしている夫と、やっていることは同じなのかもしれません渡辺:恋愛やセックスに限らず、外の刺激に触れてエネルギーや気持ちがそちらに向いてしまうことってありますよね。やはり、結婚相手ですべてをまかなうのは無理なんじゃないかな。夫婦間で大事にしたいものを1つか2つ優先できたら、それで御の字ですよ。 こだま:恋愛感情のない結婚や、セックスのない夫婦があってもいい、と? 渡辺:恋愛も世間ではいいものとされているけど、アルコールと同じで向いてない人がハマると依存したり、生活に支障を来したりすることもある。誰もが恋する必要はないし、恋愛ありきで結婚する必要もないと思うんですこだま:そう言ってもらえると救われます。私は長い時間をかけて、やっと性的な活動のない今の夫婦関係を肯定できたので。最初からそう思えていたら、こんなに迷走せずに済んだかもしれませんね。 ===  夫婦生活に“正解”というものはない。嘘や矛盾を抱えながら、2人だけの“最適解”を見つけていくしかない。そんなことを、両作品は教えてくれるのだ。
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編集部厳選!夫婦と家族を問い直す3作品
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