――そこは確認しないんですか!?
滝野:だから、後先考えずの人間なのよ。取扱説明書は読まないから、買ってきたばかりのホットサンドメーカーを空焚きして、1度も使わないまま壊したり。
逆に、取扱説明書を疑ってアメリカ製のガラス製魔法瓶に氷を入れて爆発させたこともありました(笑)。
取扱説明書に「氷だけを入れないでください」と書いてあって、「熱い飲みものにも使える、冷たい飲みものにも使える魔法瓶なのに、氷だけを入れると爆発するなんてウソだ!」って思っちゃったんですよね。
ウクレレの練習をする滝野さん。ここでも笑顔
――普通は取扱説明書を疑ったりしません。
滝野:ホント、余計なことばかりするんです。そういえば昔、ハガキに1円玉を貼って送ったこともあります(笑)。
――は?
滝野:急ぎで出したいハガキがあったんです。ちょうど、ハガキの料金が50円から52円に移った時期で、手元には50円切手1枚と1円切手が1枚あったんだけど1円分、足りない。
「だったら!」とひらめいて、お財布から1円玉をとり出し、ハガキにセロテープで留めて投函したんです。郵便局の人がこの1円を受け取って、切手を貼ってくれるんじゃないか?って思って(笑)。
――そのハガキは……?
滝野:それが、無事に届いたんです! 日本の郵便局の方はとても親切なんですね。でも、もうしません。みなさんもマネはしないほうがいいと思います。でも、普通はしませんよね、そういうこと(笑)。
パソコンも独学でマスターし、今では生活に欠かせないそう
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最後のエピソードを聞いても、滝野さんが“普通”という枠にとらわれていないことがよくわかります。取材の間、クルクルと表情豊かで、笑顔がチャーミングな滝野さん。こんなおばあちゃんになれたら、こんな年の重ねかたができたら素敵ですよね。
すぐに人の目から自由にはなれないけれど、まずは、「もう年だから」を禁句にしてみる?
<TEXT/鈴木靖子>
【滝野文恵/たきの・ふみえ】
1932(昭和7)年、広島県福山市生まれ。関西学院大学を卒業後、1年間、アメリカへ留学。25歳で結婚。1男1女をもうける。53歳でアメリカ・ノーステキサス大学へ留学し、56歳で老年学修士号を取得。
帰国後、63歳でシニアチアダンスチーム「ジャパンポンポン」を設立。平均年齢71歳、24人のグループ内の最年長で、現在もステージに立つ。
ジャパンポンポン
http://japanpompom.com/