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ドリカム吉田美和は大丈夫?アデルもノドを壊した「絶唱」の危険

話すように自然に歌う人たちがいる

 そして彼女たちは1983年に当時80歳のソプラノ歌手と仕事をして驚いたといいます。その年齢でも力強い歌声だったので、発声しているときの腹筋の動きを確かめると、なんと日常会話をしているときと全く変わらなかったというのです。  つまり、大きく息を吸い込むためにお腹がふくらませるわけでもなければ、口やノドを大きく広げるわけでもない。わざわざ歌のために、特別な力をため込む動作が全くなかったというのですね。  そうして出てくる歌声は、いま風のヒステリックな金切り声とは真逆で、友達に話しかけるかのように自然なのだそう。  たとえばニック・ロウやシェリル・クロウの歌声も、話すように自然です。

その絶唱は必要?自爆するシンガーたちも

 そこで改めて吉田美和に戻ると、歌のために力を込めている様子がリアルタイムで伝わってしまう点が、やはり気になります。より大きく、より広く響けと頑張るほど、身体がこわばっているからです。幸いにも彼女がノドを傷めたという話は聞きませんが、見ていてこちらの血圧まで上がってしまう瞬間があることは否めません。  もちろん、吉田美和クラスならまだマシな部類なのでしょう。しかし、他にもノドを潰してまで絶唱しなければならないほどの内容もないのに、全身全霊を込める音楽が多すぎやしないでしょうか。ただ1音をキープすることすらままならないのに、やたら地声とファルセットを織り交ぜた歌メロを作っては自爆するシンガーが多すぎやしないでしょうか。  アデルとは違った意味で、また心配してしまうのでした。 <TEXT/音楽批評・石黒隆之> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4
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