――では、赤外線を避けるにはどうすれば?
「赤外線をカットするのは、実は結構大変です。紫外線をカットするための商品は様々なものが出ていますが、赤外線はサンスクリーン剤では遮断できませんし、波長特性上、肌の奥まで届くのでそのまま影響を受けてしまうのです。
今のところ、“セリウム”という物質の効果が実証されていますが、商品化されたものはまだありません。もう一つ、水分も赤外線対策には有効です。そのため35歳未満の人は、赤外線の害はそこまで問題ではないんです」
――年齢が関係してくるんですか?
「はい。理由は近赤外線による皮下のコラーゲンやエラスチンの影響です。赤外線をカットするには水分が有効と申しましたが、コラーゲンやエラスチンには保水力がありますから、コラーゲンやエラスチンが豊富な35歳以下の人なら肌に保水力があり、赤外線によるダメージは比較的少ないんです。
でも、コラーゲンやエラスチンが少ない肌は保水力が弱いから、赤外線のダメージを受けやすくなるんです。だから、コラーゲンやエラスチンの生成能力が衰え始めるとされる35歳前後以上の人は、特に意識して赤外線対策をするといいと思います」
――どうすればいいのでしょう?
「まずは赤外線をできるだけ浴びないように心がける…といっても、1年中24時間、太陽光を浴びないでいるのは不可能。なので、日焼け対策を1年中しっかりと行うのがなによりも大事です。
その際には、紫外線カットだけに特化したものよりも日差し全般を遮るものを利用するといいでしょう。また、日焼け対策用のサプリメントを利用するのも効果的です。私も、最近日焼け対策のサプリメントを開発したのですが、サプリを利用する場合には安心できるものを選ぶのが大事です。
また“黄ぐすみ”の原因としては、もう一つ、最近話題になっている“糖化”もあると言われています。糖化というのは、身体の中でタンパク質と余分な糖が結びついてタンパク質が変化した結果、老化物質を生成する反応のことで、老化を進行させたり、様々な病気の原因になると考えられています。
この糖化も“黄ぐすみ”の原因になるので、“黄ぐすみ”予防を考えるなら、日焼け対策にプラスして、糖化対策をするのも有効でしょう。あとは、とにかく保湿でしょうか。1年を通して、保湿を怠らない姿勢でいると、ダメージをより減らすことができると思いますよ」
なるほど。くすまないためには秋からもしっかりと日焼け対策を行うのがとても大事だったのですね。とても参考になりました。先生、ありがとうございました。
<TEXT・PHOTO/にらさわあきこ>
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【藤本幸弘先生プロフィール】
医師、医学博士、工学博士、薬学博士、MBA、米国レーザー医学会専門医、欧州皮膚科学会認定医。東京四谷の「
クリニックF」で院長を務めるだけでなく、国内外での学会に積極的に参加するなど最新医療を常に探求。『聴くだけでスッキリ痛みがとれる!~頭痛や生理痛がみるみる解消~』『痩身を科学する~最新医療機器のすすめ』などの著作のほか、『藤本先生の聴くだけでスッキリ』シリーズではCDも監修。最新刊『美しい人は“枕”を3つ持っている』では、日常から実践できる行動を優しい言葉で丁寧に紹介。美容メディア関係者からも絶大な信頼を集めている。