音楽活動は「俳優が音楽もやりました感」の域を超えていない
一方歌手活動はどうかというと、これはちょっと首をひねりたくなります。
菅田の歌は俳優にしては上手ではあるものの、「見たこともない景色」はどこかで聴いたことのあるようなメロディに、かっこ悪くても突き進もう的なメッセージを込めつつもなんだかピンとこない歌詞で、ずいぶんふわっとした印象です。
菅田将暉「呼吸(初回生産限定盤)」ERJ
2ndシングルの「呼吸」は、失恋体験を元に菅田自身が書き上げた歌詞ということでリアリティはあるものの、リスナーの心に訴えかけてくるかどうかは疑問が残ります。
どちらの楽曲も雰囲気先行であり、これまでによくあった「俳優が音楽もやりました感」の域を超えていません。そしてこれは菅田が俳優として出演してきたすべての映画・ドラマで、雰囲気でなんとなく演じるのではない実直な役作りの姿勢を、覆(くつがえ)すような行為に思えてなりません。
10月には、菅田のまた新たな一面が垣間(かいま)見えるであろう主演映画『あゝ、荒野』が控えています。演技力は申し分ないので、この作品もきっと各方面で話題になることでしょう。
だからこそ、雰囲気重視の音楽活動などで余計な気力を使うことなく、きちんと演技に打ち込める環境を整えてあげてほしいと願うばかりです。
<TEXT/胸キュンエンタメウォッチャー 木村桂子>