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村上虹郎「森達也監督は面白い」。早見あかりの恐怖体験ほか撮影秘話を明かす

芝居の“刹那”を大事にするようになった

村上虹郎さん_3――早見あかりさんとは以前映画『忘れないと誓ったぼくがいた』(2015年)で共演されていますが、久々に共演されていかがでしたか? 村:お互いの舞台を観に行ったりしていたのであまり久しぶりという感じはしなかったですが、初めて共演した時はお互い10代だったので、20代になってしっかりしたな、と思います。早見さんはこの仕事が僕より長いので、もともとしっかりしていましたけど。 当時、僕はがっつりお芝居をするという意味では2作目だったので、お芝居のことも現場のこともわかってなかったから、スタッフさんたちからすごく怒られていました(笑)。 村上虹郎さん_4――どんなことで怒られていたんですか? 村:その作品で初めて、リハーサルと本番は同じことをやらないといけないと知ったんです。デビュー作が河瀨直美さんの作品(『2つ目の窓』2014年)だったのですが、河瀨組はそもそもリハがなく、本番のみ。本番でもテイクごとに同じ芝居をしていたらダメだと言われました。 「あなたはこの作品でこの瞬間を生きているんでしょ。だからテイクごとに同じことをするのはありえない。さっきから何テイクしても目線を送っているタイミングが同じやで」って。さっきのテイクで鳥が飛んでいたらその方向を見てもいいけど、今のテイクは同じところに鳥がいないんだから見ないでって。河瀨組なりのリアリティなんだと思います。どの現場でもどの俳優でもそれぞれのリアリティがあると思うので一概には言えないですが。 ――デビューから3年、演技に対する向き合い方が変わりましたか? 村:舞台をやってから、変わった部分はあるかもしれません。岩松(了)さんの『シブヤから遠く離れて』(2016年)という舞台で初めて「ザ・舞台」というものを経験しました。舞台は同じ芝居を何度もできますが、映画やドラマは1テイクでOKが出たらその芝居は1回しかできない。とても刹那だと思います。 その刹那の中でも、その人が何を用意してきたか、どういう生き方をしてきたか、語らずとも滲み出るものはあると思うのですが。だからこそ、舞台を経験して、1回しかないその刹那を大事にしよう、より洗練されたものを残そう、と思えるようになりました。
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“しばり”がある中で、どれだけ爆発できるか
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