ケイさんと同じような思いを抱きながら、環境を逆手にとったアキラさん(仮名/30代)も、彼なりの悩みを感じています。
友人を介して集まるパーティや仕事の付き合いなどで、ケイさん同様、やはり「おねえキャラを期待されていると感じる」と言うアキラさん。ただ、「ぼくはゲイですが、女性的なキャラではありません。でも、必要な場では世間が求めるおねえキャラを演じています」と、周囲の期待に応える努力をしているそう。
「普段はおねえ言葉なんて使わないし、厳しいことを言ったり、自分の意見を主張したりすることもありません。でも、演じて酒の席が楽しくなるならと思い、
おねえタレントを研究して会話や仕草をマスターしました」
その甲斐あってか、多くの酒の席に顔を出す日々を送っていますが、不愉快な思いをすることも。
「よくあるのが、『友だちになりたい』という初対面の女性。友だちって、『なろう』ってなるものじゃないですよね? それに、ただおねえというだけで友だちになりたいなんて、自分のステイタスのためだけで、こちら側の気持ちを汲んでいない証拠。
そんな人は、男女限らずお断りです。逆の立場で考えてみれば、わかることだと思うのですが……」
本来の自分を偽っているつらさだけならず、パーソナルを無視した発言に心を痛めることも少なくないそうです。

2017年8月にカナダのオタワで行われたゲイ・プライド・パレードには、ジャスティン・トルドー首相も参加
おふたりから共通して聞かれたのは、「おねえキャラのひとり歩きで、ゲイがありのまま受け入れられている感覚は薄い」というもの。
価値観や性格の違いは、すべての人にあるもの。「女性だから」「男性だから」といった“こうあるべき”が薄れているように、「おねえだから」「LGBTだから」といった偏見を持たず、一個人として受け入れ合う気持ちが、本当の理解につながるのかもしれません。
<TEXT/千葉こころ>
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自由とビールとMr.Childrenをこよなく愛するアラフィフライター&編集者。
人生後半戦も夢だけは大きく徒然滑走中