人間の深層心理に詳しい一般社団法人全国行動認知脳心理学会・理事長の大森篤志さんに話を聞きました。 「憧れの芸能人を、男性はどこか『あんな人が奥さんだったら』『あんな子が彼女だったら』と、“現実の世界”に理想を求める傾向がある。その根底には『手に入れたい』『自分のものにしたい』という獲得欲求が隠れている可能性があります。 　一方、女性は『あんな人が旦那さんだったら』『あの人が彼氏だったら』と思うものの、守りの傾向が働き、“理想の世界”に現実を見る傾向があります。憧れはありながらも一歩引いて、『でも、現実にそうはいかない』と自分の思いについても俯瞰（ふかん）して冷静に見渡しているのが特徴です」 　芸能人本人に対して、男性はどこか“あわよくば……”という思いを抱え、女性は憧れつつもあくまでも“理想”として見る傾向があるということですね。 　では、なぜ男性ファンは芸能人本人を、女性ファンは交際相手を叩くのでしょうか？ 「先ほど男性には獲得欲求が隠れているという話をしましたが、だからこそ、芸能人の恋愛の話などがあると『オレのものだったはずなのにどうして……』『せっかく応援してたのに逃げられた……』といった感情に陥りやすい。どこか裏切られたような気持ちになる傾向が強いと考えられます。 　女性の場合は“共感”というキーワードが深く関わってきますが、憧れの芸能人を『自分一人のものにはならない』『憧れるすべての人のもの』と、共有財産として捉える傾向が強いと考えられます。 　そのため、心の中で『みんなの憧れを誰か一人が奪うなんて』と、相手女性への嫉妬が芽生えてしまうことも多いのではないでしょうか」 　男性と女性の、対象の捉え方の違い。それぞれの違いがどうやら、芸能人の恋愛スキャンダルへの向き合い方に深く関わっているようです。 　ただ、やはり雲の上の芸能人たちはやはり私たちにとって憧れの存在。くれぐれもスキャンダルに取り乱すことはないよう、男女ともに冷静なファンでいたいですね。 ＜取材・文／カネコシュウヘイ＞