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映画『火花』初日から空席だらけ…菅田&桐谷は「笑って泣ける」か

印象に残った加藤諒と三浦誠己

 菅田将暉の演技は素晴らしかったのですが、そもそも映画での「売れない芸人・徳永」のキャラクターがハツラツとしすぎています。  仮にも又吉の私小説的純文学です。徳永が神谷を飲みに誘うのも精一杯なところや、キャラ作りのため銀髪に染める自意識。せっかくセッティングされた偉い人との飲み会も神谷に呼ばれて抜け出してしまう。そのイタさが魅力的だったのですが、映画ではそのシーンが唐突にあるだけで、心情は全く描かれない。  そして、誰がなんと言おうと自分の芸を貫くカリスマ性がありながら、後半では自分に心酔する徳永をつなぎとめるような弱さを見せる神谷を、桐谷健太が演じきれていたかは疑問が残ります。  神谷の彼女役である木村文乃も演技は上手いのですが、風俗店で働いているシーンを描かない方が下支えの苦労に想像が膨らんだのに、なぜかコメディ風なワンシーンを足してしまったのは板尾監督の蛇足ではないでしょうか。  そんな中で注目すべきは、ピン芸人・鹿谷を演じる加藤諒と、神谷の相方役の三浦誠己です。先輩の徳永や神谷を差し置いて躍進していくのですが、中盤以降はあのファニーフェイスをテレビや広告の映像でしか見られないのがまた笑えます。  三浦は芸人から俳優の道に転向した過去があるのですが、彼が徳永を居酒屋に誘って話をするシーンが、この映画で一番良かったです。  ちなみに、ヤフー映画の評価は、5点満点で2.96点(11/30時点、評価437件)となかなかシビアな結果ですね。

『火花』体験が初めての人は普通に楽しめる

 この映画、ドラマ版を見ていない方が幸せに鑑賞できそうです。菅田くんかっこいい~! 桐谷健太おもしろい~! 木村文乃の金髪可愛い~! と楽しみながら、芸人の苦労を2時間でなんとなく感じる映画としては全く問題ありません。  しかし、登場人物の心情ひとつひとつを丁寧に描いていた大傑作のドラマ版を知ってしまったが最後、あれがない、これはいらないのオンパレード。  映画を鑑賞するのなら、ドラマ版での予習は避けるのが賢明です。もう映画を観た人は、ぜひともドラマ版と見比べてみてください! <TEXT/和田まおみ>
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