――無事に養子縁組が成立して、何か生活に変化はありましたか?
古泉:うーちゃんにご飯を食べさせて寝かしつけて保育園に連れていって……という日常は変わらないので、特に大きな変化はないですね。苗字が同じになったので、煩わしさがなくなったくらいでしょうか。といっても、うちはまだ年齢が小さいので、病院で呼ばれたときに一瞬「あ、うちか」となっていたくらいですけど。
もっと大きくなると、子どもに苗字が違うことを悟られないように、
「本当はこの苗字なんですけどこっちの苗字で呼んでください」などと根回しするのが大変というのを聞きますね。いわゆる“里親あるある”です。
――保育園や幼稚園、学校などは、里親と同じ苗字=通り名で呼んでもらってOKだそうですけど、病院は保険証を提出するのでどうしても本名で呼ばれちゃいますもんね。苗字問題以外では何か変化はありましたか?
古泉:あ、里親のときにいただいていた養育費がなくなり、子供手当の支給だけになりました。以前はフリーターくらいもらえていたので激減ですね(笑)。

『うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました』(イースト・プレス)より
――なるほど(笑)。気持ちの面での変化は?
古泉:「もう離れ離れになる心配がないんだ」という安心感はあります。
――実子を育てているのと近い感覚になったのでしょうか。
古泉:僕は元婚約者との間に実子がいますが、事情があり3回しか会ったことがなく実子を育てた経験がないので比較できませんが……。基本的には里子のときと変わらないですよ。うーちゃんは本当に輝かしいスーパースターのような子なので、そんな子が里子になってなついてくれてうれしいなって気持ちでいっぱいだったのが、今度はさらに戸籍上も自分の子になってくれて「わーい!」って感じですね。

――じゃあ接し方も変わらないんですね。著書の中に「養育権を剥奪されるので里親から里子への体罰は絶対にNG」と書かれていましたが、そういう緊張感から解放された……ということはありませんか?
古泉:うーちゃんはまだ小さいし、もともと叩いたりするシーンがなかったのでそういう感覚はないですね。でも、熱いストーブに手を出すとか車道に飛び出すとか、本当に危ない局面だったら手を叩くくらい許されると思うんですよね。里親でも。
――そうですよね。大きくなるほど注意やしつけの範囲で軽く叩いてしまう局面が出てきそうなので、それも許されないとなるとコミュニケーションに緊張感が生まれそうだなぁと思いまして。
古泉:そういえば、「里親会」で年に一回開催される「父の会」で耳にしたんですが、ある方が児童相談所の職員さんに「本当に悪いことをしたときはどこまでの体罰なら許されるのか?」と聞いたら、
「“頭をグリグリ”までならOK」だと言っていたらしいですよ(笑)。
――育てているうちにそういう疑問も出てきますよね。子どもの安全保護を考えると児童相談所も簡単に例外はつくれないんでしょうけど、そういうリアルなやり取りは面白いですね。
※後編は近日中に配信予定です。
【古泉智浩 プロフィール】
1969年生まれ。ヤングマガジンちばてつや賞大賞受賞。『ジンバルロック』『ワイルド・ ナイツ』他。『チェリーボーイズ』が映画化し、2018年2月に公開予定。現在、
『特別養子縁組やってみた 漫画 うちの子になりなよ』を漫画配信サイト「Vコミ」で連載中。ブログ:
古泉智浩の『オレは童貞じゃねえ!!』
<TEXT/持丸千乃>