「入所すると、下着一式とタオル、歯ブラシと風呂桶、洗濯ばさみと個室の鍵が渡されます。自分の荷物はこれだけです。基礎化粧品は共用の洗面台に置いてありました。
携帯電話は、基本的にスタッフに預けなければなりません。使いたいときは、
連絡したい先を申請して許可を取る必要があります。インターネットも使えません。
DVのダンナさんから逃げてきた女性の中には、気が変わって相手に連絡してしまい、戻って同じことを繰り返す人がいるからだそうです。
シェルターでの1日は、7時の起床から始まります。7時半から8時半までが朝食。お昼は12時からで、15時におやつ、夕食は18時から、22時には消灯です。
それ以外の時間は、談話室でテレビを見たり、古い雑誌を読んだり、そこに集まってくる入居者とおしゃべりをしたり。
外に出ていいのは、午前中の2時間だけでした。それも中庭だけです…」(夏央さん)
シェルターは2週間ほどで出所しなければいけないところもあります。一方で、外出できないシェルターにいながら住居や仕事を探すのは大変で、夏央さんのように「なかなか出られない」というケースも…。

「入所する前にアパートの内見の予定も入れていたし、入ったときは、2~3日で出るつもりでした。だけどここは一度入ると、なかなか出られない監獄のようなところだったんです。
週に何度か、ケースワーカーさんが来て相談に乗ってくれます。私の場合は、生活保護のお金で引っ越しの初期費用を出してもらう方向で話が進んでいましたが、そのためには生活保護下にシェルターに入った経緯を役所に説明しなければいけません。
ですが、なかなか話は進みませんでした。賃貸のお部屋を借りてここを出たいと思いながら、結局、1カ月以上もシェルターに入ることになってしまいました」(夏央さん)

民間シェルターでは「被害者の一時保護だけに止まらず、相談への対応、被害者の自立へ向けたサポートなど、被害者に対する様々な援助を行っています」(内閣府男女共同参画局HPより)とのこと。
ですが、予算もスタッフもノウハウも足りず、不満を感じる入所者も多いようなのです(※近日公開予定の次回に続く)。
<TEXT/和久井香菜子>
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