鈴木雅之の不倫疑惑…「妻が夫の恋人を黙認」は本当にありえる話?
その後、インフルエンザに倒れたトモカさんをシュウコさんが看病したこともある。トモカさんは決してでしゃばることなく、金曜夜だけをひたすら待つ生活だった。
「一度、3人で旅行にいこうか、と私が言い出したんです。夫もトモカもびっくりしていましたけど。車で近場の温泉に1泊旅行して、夜は3人で川の字になって寝ました。もちろん、何もナシですよ(笑)」
この旅行を機に、シュウコさんとトモカさんは心を開いて話し合うようになる。私が会ったときは、そんな生活が始まって2年ほどがたったころ。ふたりは姉妹のように仲がよかった。
「最初は嫉妬しましたよ。トモカなんて死ねばいいと思ったこともある。だけど彼女がインフルエンザにかかったと夫から聞いて、私はすぐ駆けつけていました。彼女、夫と別れたくないという以外に何も自己主張しないんです。私はたまたま妻という立場にあるだけで、逆の立場であっても不思議ではない。だから我慢している彼女がせつなくなってきて」
シュウコさんがそう言うと、トモカさんは横でにこやかに笑っている。
「私だって奥さんであるシュウコさんを悲しませるつもりはなかった。だけど彼のことが好きでどうしようもなかったんです。私は嫉妬する立場にはありませんが、彼に奥さんがいなければ、と思ったこともあります。でもわかったんです。彼が魅力的なのは、長年つきあってきたシュウコさんがいるからだって」
互いにつらさを抱えながらも、ひとりの男を好きになってしまったことを「これも運命かな」と受け止めていた。妻と恋人が仲良くなったことで最初は喜んでいた夫だが、ふたりの結束が強くなりすぎて居心地の悪さを覚えるようにもなっているらしい。
「夫の彼女がトモカでなかったら、私は苦しみながらも認める方向にはいかなかったと思う。彼女がいい人だったから、怒りようがなかったんです。もはや恋敵ではなく、ふたりで夫をシェアしている感覚……それは言い過ぎかもしれないけど、少なくともトモカにはまったくネガティブな感情を抱いていません」
トモカさんはシュウコさんの夫から金銭的な援助はいっさい受けていない。ふたりの女性はきちんと自分で働き、そもそも経済的に男性に依存していないのだ。だからこそ、こういう大人の関係が成立するのかもしれない。
<TEXT/亀山早苗>
【亀山早苗】
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数
嫉妬も苦しみも乗り越えて
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